医療テクノロジー
(画像=PIXTA)

新型肺炎コロナウィルスの世界的な流行に対する警戒感から乱高下した金融市場。しかし10日の日本株が3日ぶりに反発し、米国株も4日ぶりに急反発した。日米景気対策への期待や新型肺炎の新薬開発を巡る報道などを背景に、市場の不安心理は徐々に一服しつつある。

市場では、日経平均株価やドル・円相場が下げ止まって反発に転じる場合、急落前の高値からの半値戻しが当面のめどになるとの声が聞かれた。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは11日、ZUU onlineとの電話インタビューで、4月上旬には新型肺炎の感染者数の伸びがピークアウトするとの前提で、「6月末までの日経平均株価の下値めどは1万8500円程度。直近の景気後退期にPBR(株価純資産倍率)が0.87倍まで下げたことに基づく推計。ドル・円の下値めどは100円ちょうど。一方、日経平均株価の上値めどは2万1500円程度。ドル・円の上値めどは107円程度。急落前の高値から今週の安値までの半値戻しがめどになる」との見方を示した。

日本株やドル・円は半値戻しがめど

同氏は、「新型肺炎の景気への影響は、新年度入り後も残ると思う。日経平均株価やドル・円が下げ止まって反発しても上昇力は鈍いだろう。米金利が上昇しないとドル高の勢いは強くないと思う」と述べた。

10日の日米の株式相場上昇については、「米国の給与減税や中小企業支援策など経済対策への期待が高まったことが背景にある。ただ昨日、詳しい内容は出ず、いったん中身を確認したいと小休止」と説明した。

その上で、日米の対策に関して、「金融緩和や財政出動は、感染封じ込めのための移動制限による経済への悪影響を和らげることはできるが、人・物の動きが滞っているので、効果を発揮しにくい。感染者増加の勢い鈍化が見えてこなければ、投資家心理は改善しにくい」と述べた。

新型肺炎に効果がある新薬開発などの報道は不安心理を緩和

また、世界的に中国を除いたベースで新型肺炎コロナウィルスの新規感染者数が増えている中、「新型肺炎に効果がある新薬の開発などの報道は、不安心理を和らげることができると思う」と指摘。もっとも「臨床検査が必要なので一般的に使えるようになるには時間がかかるだろう」とも語った。

新型コロナウィルスに対する治療薬としては、富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学が新型インフルエンザに備えて開発した「アビガン」などを使った臨床試験の報道などが伝えられている。