米ダウ工業株30種平均株価は11日、前日比5.9% (1,465ポイント) 安の23,553.22で終了。2月12日の過去最高値から20%以上下落し、11年間の強気相場を公式に終え、ベア・マーケット(弱気相場)入りとなった。S&P 500種は4.89%安の2,741.38で引け、最近の高値から約19%下落した。ナスダック総合指数は4.70%安の7,952.05で引けた。
Allianzチーフ・エコノミック・アドバイザーを務めるMohamed A.El-Erian氏は、 「3主要株価指数が4.7ー5.9%下落し、米国株は激しい動きとなった。伝統的なリスク回避手段であり、多様化の手段でもある米国債は救済にはならなかった。米10年物利回りは同日、0.85%で引けた。追い証(マージンコール)が大量に発生した」 と述べた。
Ritholtz Wealth ManagementリサーチディレクターであるMichael Batnick氏は、 「わずか19日間で起こり、公式には史上最速のベアマーケット入りだ」 とツイートした。
市場が下落したのは、連邦政府の財政措置やその他の措置だけでは、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大による経済的影響を抑えるのに十分ではないとの懸念が高まっているためだ。
TD Ameritrade InstitutionalのMichael McKerr氏は 「S&P 500種は4.89%安で取引を終え、過去10日間で少なくともプラス・マイナス3%超となる7日目の終値となった。第2次世界大戦以降では、2008年と1987年に起こった歴史的な変動だ。さらに2008、1987、1933、1932、1929年にしか見られなかった10日間のうち、少なくともプラス・マイナス4%超となる6日間の終値を記録した」とツイートした。
新型肺炎コロナウイルスが世界的大流行
世界保健機関 (WHO) が新型肺炎コロナウイルスが世界的大流行に達したと発表した数時間後の11日、米東部夏時間午後9時にトランプ大統領は演説。ジョンズ・ホプキンス大学によると、確認された患者数は現在121,560人を超え、4,370人以上が新型肺炎コロナウイルスで死亡した。
チャールズ・シュワブのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース氏はツイッターで、 「米国で新型肺炎コロナウイルスの症例数は急激に増加している。2月20日以降、症例は3日ごとに倍増しており、検査が予定通りに続けば、米国の患者数は3月21日までに約25000人に達する可能性がある」 と述べた。
金融史のブロガーであるJamie Catherwoodは、ツイッターで「過去を勉強しない人は、繰り返す運命にある。こうした完璧な例はめったにない。第1次世界大戦後にフィラデルフィアで行われたパレードがスペインかぜの流行に貢献した」と説明した。
将来のショック
GuideStone Capital Management社長を務めるDavid Spika氏は、ブルームバーグ・ニュースに対し、「新型肺炎コロナウイルスの拡大がいつ収まるかは分からない。不透明感が多くの不安定性を生み出し続ける。どのようにモデル化すれば良いのか、何が期待できるのか、分からない」と述べた。
ブルームバーグがまとめた6つの金融機関の調査報告書と初期アンケート調査によると、今年4−6月期の米国経済は年率0.1~2%減のマイナス成長になりそうだ。
BMOエコノミストのJennifer Lee氏は、 「極端な市場の不安定さと、米国での新型肺炎コロナウイルスの症例数の増加を考え、緊急事態を宣言している州がある。これは需要の問題になりつつある。消費者は恐怖を感じてクルーズ旅行をキャンセルし、企業の投資が滞り、企業側にも影響があるだろう」と述べた。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) やバージニア大学など、全米各地の大学がオンラインだけの授業に移行しており、全米大学体育協会(NCAA)主催の3月のバスケットボール試合は、観客なしで行なわれることになるという。ニューヨークは今年のセント・パトリック・デーのパレードを中止した。
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