新型肺炎コロナウィルスがいつ収束するか不透明な中、極端な楽観や極端な悲観を排除して、慎重姿勢を保つしかない状況だ。ただ市場関係者によると、1ドル=100円を割り込み、95円を試す場合、日経平均株価は1万6000円を試す可能性もあるという。

明るさが見えてくるのは「4-6月から夏ごろ」

三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケットストラテジストは、12日夕、ZUU onlineとの電話インタビューで、ボラティリティが上昇しており、予測は難しいものの、ドル・円相場と日経平均株価の連動性を踏まえ、「100円程度で日経平均株価が1万8000円程度。リンクしていると思えば、100円割れたら1万7000円程度か。心理的な問題になるが、95円程度なら1万6000円程度が視野に入ると思う」と述べた。

同氏は、「新型肺炎の収束が分からず、信用リスクが高まりつつある。武漢のような状況が先進国で3か月続くとデフォルトが起こるだろうが、そこまで行くとは思わない。4-6月から夏ごろには明るさが見えてくると思う」と述べた。

もっとも、「中国は感染者の伸びが横ばいになっているが、米国など他の国々では増加している。市場が下値をもう1、2回模索する動きがあるか、状況次第で警戒が必要」と指摘。「市場の波乱は米国での感染者拡大が引き金になっており、米国での収束が重要。トランプ大統領は財政出動や金融緩和を自分で決められる訳ではない」と語った。

瀬良氏は、ドル・円について、「2011年安値から2015年高値の半値押し100円60銭が1つのめど。100円が射程圏内になるともみ合いになるだろう。100円割れにはエネルギーが必要だが、今後3か月間に99、98円に突っ込む動きも十分にあると思う。次は95円が節目になり、そのあたりで止まると思う」と述べた。

日銀は引き当てを積んで持ちこたえるしかない

一方、日銀の上場投資信託(ETF)購入に関しては、「損益分岐点は1万9000円台ではないか。引き当てを積んで持ちこたえるしかない。日銀資産の含み損で円売りにはならないと思う。日本は外貨準備があり、対外負債を持っておらず、レバノンとは違う」と述べた。

また「個人投資家は株価が落ちてこなくて買えていなかった人が多い。2番底、3番底があるかもしれないが、買い下がりのスタンスの人が多い。運用難で手がでなかったので待ち構えている」と述べた。