新型コロナウィルスの感染拡大を背景に、各国で渡航者の入国禁止などの動きが広がる中、世界的に株価が急落し、リスクオフ(回避)の流れが強まっている。
欧州中央銀行(ECB)は12日、量的緩和(QE)による資産買い入れ拡大を決めた。また米連邦準備制度理事会(FRB)も同日、短期金融市場への資金供給を決め、短期債に限っていた米国債の買い入れ対象を拡大し事実上のQEに踏み込んだ。
あおぞら銀行総合資金部の諸我晃部長は、13日のZUU onlineとの電話インタビューで、欧米中銀の緩和策を受けた金融市場の動向について、「当面はリスクオフモードが継続すると思う。リーマンショック並みの金融危機になりつつある」と指摘。「金融政策だけでは止められない。財政出動も必要だが、すぐに手を打てる訳ではない。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.75―1.0%ポイントの大幅利下げが見込まれており、ゼロ金利政策に戻ることになりそうだ」と述べた。
ドル資金不足懸念
諸我氏は、為替市場の動向について、「ドル不足懸念からドル買いの動きが進み、ユーロが下げ、ドルは上値を試した。海外時間にドル・円も上値を試したが、株の下落が加速し、104円台まで下落。東京時間はやや落ち着き、ドル・円は買い戻されている」と説明した。
その上で、今後の見通しについて、「発射台が少し上になったので、FOMCにかけては102円程度ではないか。ただ4月以降に米経済指標の悪化が示されれば、100円程度までの円高を見ておいた方が良い」と語った。
米国株の大幅下落に関しては、「トランプ政権が欧州からの入国禁止を発表し、人の流れが滞ることの影響が大きい。給与減税が期待されたが、発表されず、失望から株下落につながっている。4月以降に発表される米指標は確実に実態が悪い数字が出てくると思う」と述べた。
12日の米株式相場は大幅に続落し、9日以来、2回目となる売買を一時中断するサーキットブレーカーが発動した。13日の日経平均株価は、1万7000円の大台を割り込んだ。