WHO(世界保健機関)が、新型コロナウイルスの感染拡大について世界的な大流行を意味する「パンデミック」を宣言した。また、米国ではトランプ大統領が欧州から米国への入国を30日間停止することを発表。

これを受けて、世界の株式市場は売り一色となった。12日のNYダウは前日比2352ドル安となる過去最大の下げ幅を記録。翌日の日本株市場も一時1800円を超える下げに見舞われた。まさに“阿鼻叫喚”の大暴落だが、この歴史的な下げによって、富裕層になるチャンスが巡ってきたと考える人もいる。(執筆:ZUUonline magazine編集長 三枝裕介)

証券会社の営業部門には電話が殺到

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(写真=PIXTA)

マネー雑誌の編集をしていることもあって、筆者のもとには連日、「都心のタワーマンション最上階の1部屋分飛ばした」とか「こんなに下げていったい誰が得をするのか?」といった新型コロナウイルスへの恨み節がこもったLINEが入り続けている。少なくとも、信用取引のカラ売りや先物のショート(売り)で儲かったという話はこれまでのところ聞こえてこない。

自らも株式投資を行っている金融情報会社の社長はいう。

「証券会社の営業部門はまさにパニック状態だそうです。信用取引で多額の追証が入った投資家からは相談にも近い電話が入り、投信や外債を買っている顧客からは『老後の資金がなくなった』という苦情が鳴りやまないそうです。特に外債は株安と円高のダブルパンチですから目も当てられません」

常識外れの無茶苦茶な暴落の後には…

ただ、筆者の親友である大口投資家は異なる見方をしていた。彼は、度重なる急落にもファイティングポーズを取り続けて買い向かっている。その大口投資家はいう。

「世界中のプライベートバンクの担当者たちと、毎日のように会話をしています。今回の下げはまさに歴史的なもので、どこで下げ止まるのか彼らも見当がつきません。しかし、歴史的であるからこそ、そこにチャンスがあるというのが共通認識なのです」

「今回の世界的な株価暴落で多くの投資家や富裕層たちが資産を溶かしてしまいました。これは見方を変えれば、これまで富裕層に憧れていた、もしくは目指していた人たちが富裕層へのキップを手に入れるチャンスなのではないでしょうか。もしかしたら、今回の一連の騒動で世界的に富裕層の入れ替えが行われるかもしれません」

過去にも、一般のサラリーマンやOL、なかにはフリーターといった人たちが“億り人”の仲間入りを果たしてきた。しかし、筆者の知る限りでは、彼らがマーケットから1億円以上のマネーをもぎ取る過程では、その多くがリスクを顧みない“常識外れ”の無茶苦茶な取引をしている。

なかには“億り人”になった後も、その投資スタイルを貫いて、わずか1度の急落でそれまでの利益を吹き飛ばしてしまったトレーダーもいた。

しかし、今回はマーケットの下落そのものが“常識外れ”もしくは“無茶苦茶”なだけに、ここからはある程度、正攻法でも資産を増やすチャンスがあるはずだ。

幸い、足元の株式市場にはパニック売りによって、バーゲンセールに放置されている銘柄がゴロゴロしている。ここから株式投資を始める投資家にとっては“宝の山”と言っていいだろう。すでに、ネット証券などには株式初心者の口座開設が相次いでいるという話も聞く。

ここまでの暴落で資産を失ってマーケットから強制退場させられてしまった投資家には申し訳ないが、「ピンチはチャンス」、まずは少額の資金から株式投資を始めてみてはどうだろうか?

「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」――。

これは米国の著名投資家ジョン・テンプルトンによる相場格言だが、現在は「悲観の真っただ中」であることは紛れもない事実のはずだ。