「もしもし? ああ、今日から在宅勤務だ。こっちは最悪だよ。まるで集団ヒステリーだ」ニューヨーク郊外在住のアナリストが電話口でそう言った。新型コロナショックで非常事態宣言が出される中、全米各地のスーパーマーケット等では消費者のパニック買いが発生、マスクや除菌用ローション、消毒用品、トイレットぺーパーに加え、水や缶詰、豆、パスタ、冷凍食品など日持ちのする食料品等が飛ぶように売れている。

後段で述べる通り、会員制量販店のコストコ・ホールセール(以下、コストコ)では2月最終週に日用品の需要が急増、同月の既存店売上高は12.1%増を記録した。コストコの3月13日現在の株価は302.57ドル(終値)で過去1年間の騰落率は28%のプラスとなっている。ちなみに同期間のS&P500は3.5%のマイナスであり、コストコはS&P500を30%超もアウトパフォームしている。

新型コロナショックはコストコの売上増をもたらしたが、米消費者信頼感が悪化すればさすがに打撃を免れないとの見方もある。加えてウォール街では大手金融機関の従業員の感染が相次ぐなか、一部でオペレーションリスクが囁かれるなど市場環境はあまりにも不透明だ。

今回はコストコの最新動向をリポートする。

12~2月期決算は増収増益、ネット通販が好調

コストコ,株価
(画像=ThomasTrompeter / shutterstock, ZUU online)

コストコの12~2月期決算は売上高が11%増の390億7000万ドルとアナリスト予想(382億4000万ドル)を上回った。感謝祭での売上増加が寄与したほか、インターネット通販の売上高も28.4%増と好調だった。アマゾン、ウォールマートを追撃するために関連サービスを拡充したことも功を奏した。純利益は9億3100万ドル、1株利益は2.10ドルとなり、前年同期の8億8900万ドル、2.01ドルからそれぞれ増加した。

なお、12~2月期の店舗とインターネット通販を合わせた既存店売上高は前年同期比で8.9%増加している。ガソリン価格と為替変動の影響を除くと7.9%増となり、市場予想の6.4%を上回った。また、前述の通り2月の既存店売上高は12.1%増と大幅な伸びを示した。ウォール街の市場関係者からは「新型コロナショックを背景とした売上増加は3月に入っても継続しており、コストコの既存店売上高の伸びは10%以上を継続する公算が大きい」(前出アナリスト)との声も聞かれる。

強固な顧客基盤に強味、割高な株価に警戒も