FRB
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新型肺炎コロナウイルスによる経済的な打撃が続いていることを背景に、米連邦準備制度理事会 (FRB) は15日、政策金利を1%引き下げほぼゼロとし、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を約7000億ドル購入し、量的緩和(QE)へ復帰すると発表した。

またFRBは、銀行は最大90日間ディスカウントウインドウから資金を借りることができ、準備率を0%へ引き下げた。S&P500種先物は発表直後に5%下落し、ダウ工業株30種平均は4.5%下落した。

次回連邦公開市場委員会(FOMC)の3日前 (現在は中止) で、トランプ大統領がパウエルFRB議長を降格・解任する権限があると発言した翌日、FRBはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0~0.25%へ引き下げると決めた。

パウエル議長は、声明文で、FOMCは政策金利を 「経済が最近の状況を乗り切り、雇用と物価の安定という最大の目標を達成する軌道に乗っていると確信するまで維持する」と表明した。

FRBは、カナダ中央銀行、イングランド(英中央)銀行、日本銀行、欧州中央銀行(ECB)、スイス国立銀行と協力して、 「通貨スワップ協定」 を通じて、世界中でドルを供給できるようにすると発表した。

ダブルライン・キャピタル最高経営責任者(CEO)のジェフェリー・ガンドラック氏は「FRBは政策金利をゼロにし、量的緩和(QE)第4弾を拡大した」 とツイートした。

パウエル議長が緊急利下げを発表する前、バイオリサーチ社のジム・ビアンコ社長兼最高経営責任者は、米経済に関するツイートで「他の報道によると、ゴールドマン・サックスは4−6月期の国内総生産(GDP)予測をマイナス5%に引き下げた」 と投稿した。

パウエル議長は、記者会見後、旅行、レジャー、観光などの産業が打撃を受けており、経済活動は 「しばらくは低迷するだろう」 と述べた。さらに、 「今1−3月期は弱くなる」 と付け加えた。

パウエル議長は、マイナス金利政策について、「FRBは、マイナス金利政策は適切な政策対応だとは考えていない」 と語った。

FRB決定の詳細

FRBは、米国債の購入を約5000億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を約2000億ドル拡大すると発表した。またFRBが保有するMBSの元本償還分を再投資することも明らかにした。

パウエル議長は声明の中で「FRBは、家計・企業に対する信用の流れを支援し、最大の雇用及び物価安定目標を促進するためにあらゆる手段を用いる用意がある」 と説明した。

FRBは2週間前にも政策金利を0.5%引き下げた。

Janet Levaux
MA/MBAのJanet Levaux氏は、投資アドバイザー誌の編集長。1991年から金融市場を取材し、2005年からはアドバイザーを務める。イェール大学、ジョンズ・ホプキンス大学でラテンアメリカとヨーロッパに留学したのちに日本で勤務し、その後カリフォルニアでビジネスの学位を取得してから、故郷であるテキサス州サンアントニオに戻った。

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