東京オリンピック,ユニフォーム
(画像=Korkusung/Shutterstock.com)

各国の中央銀行・政府が新型肺炎コロナウィルスへの緊急対策の強化で連携しているにもかかわらず、16日の海外市場で株価は大幅に下落、米ダウ平均株価は過去最大の下落幅を記録した。17日の日本市場で日経平均株価は乱高下した。

金融市場では、新型肺炎コロナウィルスの影響が長期化するとの懸念が強まっており、東京オリンピックの延期や中止なども織り込む動きになっているとの声が聞かれた。

SMBC日興証券金融経済調査部金融財政アナリストの末澤豪謙氏は、17日のZUU onlineとの電話インタビューで、「主要7か国(G7)首脳テレビ会議でも、新型肺炎コロナウィルスのワクチン・特効薬の開発が重要という議論になっていた。今回の危機は新型肺炎ショックで長期戦やむなしとの見方。特効薬・ワクチンができて致死率が下がり、重篤化しないとなるにも最低で半年から1年かかると思う」と説明した。

その上で、「市場は、景気がしばらく良くなく、鍋底の底を探って行く展開を織り込み、調整している。日本は、経済状況や感染者数だけでなく、中国との関係が強いことや東京オリンピックの開催問題なども影響していると思う」と述べた。

末澤氏は、「国際オリンピック委員会(IOC)総会が今月開かれる可能性があるが、判断は4月ではないか。試合が中止されて予選を行えないので、夏まで待っても厳しい。オリンピックは延期か中止の判断になりそう。市場はこうしたショックも織り込んでいると思う。海外が落ち着くまで日本だけでの状況で判断できない」と語った。

新型肺炎の事態が収拾するまで金融・財政政策はあまり効かない

主要国の金融・財政政策については、「企業の資金繰り支援などはあるだろうが、景気対策で減税・公共投資と言っても、人を動かして大丈夫なのかという話になる。金融危機のリーマンショックと違い、外出せず電気を使用しない意味ではオイルショックや東日本大震災・原発事故に近いと思う。新型肺炎の事態が収拾するまで金融・財政政策はあまり効かないだろう」との見方を示した。

株価やドル・円相場の見通しでは、「パニックなので下値めどはないが、ショックに慣れてくれば底を付けるだろう。中国から日本、アジア、欧州、米国と伝播しており、一巡すれば底になると思う。急激な回復にはならないだろうが、経済回復を織り込むことで株式市場も反発へ向かうだろう。中国は感染者数が2月中旬にピークを打っており、中国以外の国々でもピークを打てば、株価は反発すると思う」と述べた。