米国株,日経平均
(画像=PIXTA)

米シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ(変動率)指数は16日、約43%上昇し、82.60ドルと2008年の最高水準80.86ドルを上回ったが、米金融規制当局は、株式市場を閉鎖すべきではないと強調した。

米証券取引委員会(SEC)のクレイトン委員長は、新型肺炎コロナウイルスと経済への悪影響に対する懸念にもかかわらず、引き続き株式市場を開く必要があるとの見解を示した。

クレイトン委員長は、連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を1%引き下げ、ほぼゼロとした翌日に、CNBCとのインタビューで、「市場はこのような時期を通じて機能し続けるべきだ」と述べ、SECは他の金融機関とも連絡していると付け加えた。

米ナスダック最高経営責任者(CEO)のアデナ・フリードマン氏も、クレイトン委員長の意見に同意した。フリードマン氏はブルームバーグ・テレビとのインタビューで、「市場が開いたままであることが非常に重要であり、途中で閉鎖すべきではない。(市場を閉鎖しても)状況が少し先延ばしされるだけで、他の積もり積もった問題が生じる可能性がある」と述べた。

しかし一部の市場関係者は反対だ。米ビアンコ・リサーチのジム・ビアンコ社長兼最高経営責任者(CEO)は、ブログに「リスク資産市場が安値を更新する場合、金融規制・政府当局は混乱と長期的な打撃を防ぐために市場を閉鎖せざるを得ないかもしれない」と投稿した。

米銀はより強力な立場

クレイトン委員長は、「過去2週間は非常に不安定な時期だった」と指摘。2007ー2009年の金融危機の時とは違い、「米銀は現在、はるかに強い立場にある。今回は需要と供給のショックだ」と述べた。

しかしビアンコ氏によると、「株価が安値を更新し、社債価格が下落すれば、市場が混乱する恐れがある。証拠金の追い証が不本意な清算につながり、ハイイールド債や新興市場債などの流動性の低い証券価格を適切に設定することが難しくなり、ファンドが解約停止に追い込まれる可能性がある」という。

ビアンコ氏は、「金融規制・政府当局者は、経済的被害の全容が明らかになり、適切な価格が設定されるまで、市場を閉鎖せざるを得なくなる可能性がある。より広範な経済の中で展開されていることと同様に、何週間も続く閉鎖になるかもしれない」と述べた。

ビアンコ氏によると、ニューヨーク証券取引所は、悪天候やインフラ不具合と関係ない理由で、過去110年間に4回しか休場していない。第1次世界大戦中の1914年7月31日から12月12日、1933年3月3日から3月15日は銀行休業日、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後の1963年11月22日から11月26日、米同時多発テロ後の2001年9月10日から9月17日。

Janet Levaux
MA/MBAのJanet Levaux氏は、投資アドバイザー誌の編集長。1991年から金融市場を取材し、2005年からはアドバイザーを務める。イェール大学、ジョンズ・ホプキンス大学でラテンアメリカとヨーロッパに留学したのちに日本で勤務し、その後カリフォルニアでビジネスの学位を取得してから、故郷であるテキサス州サンアントニオに戻った。

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