米株式市場は、非常に不安定な取引が続く中、再び下落した。取引は一時停止となったが、その後さらに下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)が15日に発表した緊急利下げは、今月3日と同様に市場を落ち着かせるには至らなかった。

FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)を前倒しで開催し、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を1%引き下げ、0〜0.25%とした。今回の利下げは、3日の0.5%利下げに続くものだ。また米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を少なくとも7000億ドル買い入れるための量的緩和政策を復活させると発表した。

FRBの緊急利下げ、今後数週間に恐ろしい米指標が続くことを示唆

ローゼンバーグ・リサーチ・アンド・アソシエーツのチーフエコノミスト兼ストラテジスト、デビッド・ローゼンバーグ氏は、「FOMCを前倒しして、このような動きをする場合、今後、数週間で膨大な量の恐ろしいデータが予想される」とツイートした。

ゴールドマン・サックス社は、4−6月期の米国内総生産(GDP)が5%減少するとの見通しを示した。同社のデビッド・コスティン米株式チーフストラテジスト(CIO)は、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大が景気を押し下げれば、S&P500種が2,000ポイントまで下落すると予想している。

同氏は顧客向けのリポートで、「新型肺炎コロナウイルスは前例のない経済的・社会的混乱を引き起こした」と指摘。「流動性が薄い、不確実性が高い、ポジションなどで、S&P500種は、2,000ポイントの底に近づく可能性がある」と述べた。

ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査によると、今年のリセッション(景気後退)懸念は米国だけでなく世界的に広がっており、確率は45%に達した。

米国や他の国々では、学校、劇場、ジム、その他の集会所が閉鎖された。全米バスケットボール協会、全米ホッケーリーグ、米国サッカーの全試合が、全米大学体育協会(NCAA)の毎年恒例トーナメントとともに中止された。金融機関を含む多くの企業が、労働者に在宅勤務を勧めるか義務づけている。

米疾病予防管理センター(CDC)は、学校や高等教育機関、企業などを除き、50人以上が参加する行事を2ヵ月程度中止するよう勧告した。米上院は、経済対策法案を可決。ペロシ下院議長とムニューシン財務長官が交渉した経済対策には新型肺炎コロナウイルス検査を無料で行うことや、多くの企業の従業員のための有給病欠補助、食料配給券やメディケイドのための追加資金などを含む。

リサーチ・アフィリエイツ社パートナー兼シニアアドバイザーであるカム・ハーヴィー氏は、新型肺炎コロナウイルスの景気への影響に関する最新の企業調査で、「問題は不況に陥るかどうかではなく、不況が実際にどれだけ深刻になるかだ」と述べた。

2007~2009年の世界金融危機など過去の米国のリセッション(景気後退)では、FRBが、市場に流動性を供給するため利下げを実施し、量的緩和を開始するなどの支援措置を取った。

しかしハーヴィー氏は「今回は違う」と言う。2007年の金融危機の初めの政策金利5.25%をかなり下回る、非常に低い金利から始まっているので、「FRBができることは非常に限られる」と述べた。

「前回は、金融危機によって引き起こされた。今回は、健康上の危機によって引き起こされた金融危機だ」と説明。現在の危機は、健康危機への対応とともに、FRBが金融市場に、財務省が中小企業に資金を提供することを必要としている。中小企業が倒産した場合、経済の回復はより困難になるからだ。

経済学者のヌリエル・ルビーニ氏は、「巨大な財政刺激なしでは金風政策は無力だ。金融危機よりも悪い需要の崩壊を阻止できるのは、巨額の財政赤字だけだ!」とツイートした。

Bernice Napach
ThinkAdvisorのシニアライターで、金融市場、アセットマネージャー、ロボアドバイザー、大学の企画立案や退職問題を主に書いている。ヤフー・ファイナンス、ブルームバーグTV、CNBC、ロイター、インベスターズ・ビジネス・デイリー、ボンドバイヤーでの勤務経験あり。ニューヨーク・タイムズ紙、The Street.com、スターレジャー、レコード、バラエティ、ワースの各雑誌で執筆。SUNYストーニーブルック大学で社会福祉の理学士号を取得している。

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