日本でも店舗を展開して女性ファンも多い英国のインテリア・ファッション・雑貨ブランド「ローラアシュレイ」が17日に経営破綻(日本での事業は継続)した。これを前に16日には、若い女性向けファッションブランド「マジェスティックレゴン」を展開するシティーヒル(本社・大阪)が、大阪地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し、事実上破綻している。ともに業績が低迷し経営立て直しを探っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大による客足減がダメ押しとなったとされている。

新型コロナウイルスの感染拡大による売上高・客数減少などから、経営状態が厳しかった企業が経営破綻に追い込まれるケースがここにきて増加している。東京商工リサーチ情報本部によると18日正午現在、3月に入って新型コロナウイルス関連とされる企業倒産は6件、破綻は3社に上っているという。

これから年度末、3月の決算期を迎えて日本経済はどのような局面を迎えるだろうか。(ZUU online magazine編集部・天野秀夫)

和装レンタル、ホテル・宿泊業、飲食業に広がる「コロナ破綻」

東京五輪
(画像=StreetVJ/Shutterstock.com)

その業種を見ると、前述のファッション企業のほか、和装レンタル・販売企業、ホテル・旅館の宿泊業、クルーズ会社、飲食業などに広がっている。「ここまでは中国などインバウンド重要の急激な冷え込みによる売り上げ減少が引き金となったケースがほとんど。破綻企業の本社は、中国などからの観光客が多かった北海道、兵庫県、大阪府などとなっていることがそれを表している。現状で、東京都からは破綻が生じていないことがそれを表している」(情報本部)という。

このほか、企業破綻には至っていないものの、客数の減少を受けて地方バス会社の人員削減(リストラ)による休業、美容エステなどの施術を行うマッサージ店の閉店など、企業破綻にカウントされない事業の停止・縮小は確実に増えている。

どうなる五輪、ホテルと地銀を注視

そして、ここからは企業にとって年度末、3月期の決算期越えも注目されてくる。破綻企業は増えるのだろうか。

「企業の資金繰りを支援する中小企業金融円滑化法の復活もあり、破綻の急増は回避される可能性もある」(情報本部)という。

ただし、東京オリンピックが延期・中止となった場合、資金繰りの厳しいホテル・旅館業界を直撃する可能性は大きい。すでに表面化しているインバウンド需要の減退に加えて、国内団体旅行やイベントの中止さらに出張の自粛のダブルパンチを浴びてくるのはこれからだ。利益率の高い宴会キャンセルやブッフェの営業自粛も収益悪化を加速させている。

また、意外性の面では地方銀行も厳しい経営環境にさらされることになる。日銀によるマイナス金利の深堀は回避されているものの、世界的な金融緩和で利ザヤが低下し、与信費用も増加する。2000年代初頭の金融危機と2008年のリーマン・ショック後も経営問題が浮上したのは、この地方金融機関の問題だった。リーマン・ショックや東日本大震災の当時と比べて、金融システムは安定しているようだが、今回のコロナショックが金融危機につながらないための、時間との勝負が始まっている。