3月第3週の日経平均は、3年4カ月ぶりとなる16000円台に下落し、NYダウは2017年2月以来、ほぼ3年1カ月ぶりとなる2万ドル割れと「コロナショック」の落ち着きどころがまだ見えない。米欧の量的金融緩和の再開もブレーキ役とならず、追加景気対策による相場下支えに関心はシフトしている。

先週(3月16〜19日)の動きを振り返り、来週(3月23〜27日)の日経平均の展望を解説する。(ZUU online magazine編集部・天野秀夫)

なるか彼岸底!

東京五輪
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有名な相場格言に「節分天井、彼岸底」がある。年初の先高期待の熱が冷めて「節分」のある2月上旬に株価がピークを打ち、企業の決算期末が集中する「彼岸」の3月下旬に向けて決算対策売りの調整局面を迎え、相場は底を打つというジンクスだ。

今年の彼岸期間は3月17日(火)から3月23日(月)で、相場格言からするとそろそろ下落相場にもブレーキがかかってもいいタイミングだ。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大は、中国大陸から欧州・北米大陸に中心地が移り、景気・経済悪化懸念が増大するなかリスク回避の売りは継続しそうだ。

日経平均は振らされやすい展開

一方、3月に入って日経平均は、NYダウ先物の時間外取引の値動きに左右される傾向が強まっており、先物主導での機械的な取引に日経平均が振らされやすい展開が継続することが見込まれる。コロナショックに揺れる世界の株式市場は「新型ウイルスの感染拡大」から「実体経済の悪化懸念」に視点が移っている段階だが、これが「金融市場の悪化」さらに、「日米欧政局の不安定化」に向かうと、さらなる一段安が警戒される。政府が検討中の現金支給などの景気対策の規模と実現スピードが関心を高めてこよう。

こうしたなか、株式市場への影響も大きい東京オリンピックの開催動向で、今週は一つの日柄ポイントを迎える。

26日は東京五輪の国内聖火リレーが福島からスタートする予定だ。このスタート前に何らかの答えが出る可能性がある。すでに株式市場は、東京オリンピックの1年程度の延期を意識し始めている。中止だとショックが大きいが、1年程度の延期ならば株式市場にとって「アク抜け」材料としてとらえられる可能性もある。

ETF買いは1日2004億円、TOPIXは3日続伸

日本銀行
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株式市場は、値幅面では経験則や常識がまったく通用しないイレギュラーな下げに見舞われているが、前向きな話題も出始めた。

日銀は16日にETF(上場投資信託)買い入れ目標額の上限を従来の年間約6兆円から約12兆円に引き上げることを決定した。これを受けて、日銀の1日あたりETF買い入れ額は3月以降の1日あたり1002億円から17日は1204億円に増加、そして19日にはなんと2004億円に急増した。19日の日経平均の173円安についてもソフトバンクグループ<9984>1銘柄で120円安のマイナス寄与だったことを考えると、ETF効果は十分にあったと考えられる。19日にかけて日経平均は続落したものの、TOPIX(東証株価指数)とJPX日経400はともに3日続伸となっている。

19日の東証1部では、野村総研<4307>、マツモトキヨシ<3088>など先物安からくる裁定解消売りの影響を受けない「非225種」の優良株に逆行高が目立ったことは、今後の物色の上でのヒントとなる。

このほか、18日に北海道が19日での「緊急事態宣言」の終了を発表、19日には大阪府がライブハウス集団感染の収束宣言と、通常の社会生活に戻る動きも出始めた。相場的格言では「朝の来ない夜はない」「夜明け前が一番暗い」である。

テレビ局編成部門は右往左往

相場とは離れた小ネタだが、今テレビ局が戦々恐々としている。新型コロナウイルスの影響でプロ野球やJリーグなどの開催が延期となり、放映を予定していたテレビ局は急遽、特番や映画などに差し替えを進めている。

しかし、7月24日の開会式から8月9日の閉会式までの東京オリンピックが中止となると、その番組差し替えは大作業となる。「ひとまず生放送しやすい歌番組、製作期間が短いクイズ番組は増えそうですが、スポットCM料金のダウンも見込まれ、製作費も限られる……」(テレビ局関係者)と悲鳴を上げている。新型コロナウイルスに株式市場だけでなく、テレビ業界も振り回されている。

【今週の主なスケジュール】

■23日(月)米2月シカゴ連銀全米活動指数
■24日(火) 2月全国百貨店売上高、ASEAN財務相・中央銀行総裁会議(27日まで、ベトナム)
      リバーホールディングス<5690>が東証2部にIPO
■25日(水) 1月 20・21日開催の日銀金融政策決定会合議事録も、米2月耐久財受注、
      米1月FHFA住宅価格指数、ウィズ<7093>がマザーズにIPO
■26日(木) EU首脳会議(27日まで)、英国金融政策発表、米10-12月期GDP確報値
      東京五輪の国内聖火リレースタート
      アディッシュ<5071>とサイバーセキュリティクラウド<4493>がマザーズにIPO
■27日(金) 3月末権利付き最終日、米2月個人所得・個人支出(21:30)