新型コロナウイルスの影響が各方面に広がりを見せている。国民の「巣ごもり行動」はレジャーや小売り、外食、輸送等の産業を直撃、その影響は一部経済統計でも表面化し始めている。上場企業ではラーメンチェーン大手の幸楽苑ホールディングス(以下、幸楽苑) <7554> が他社に先駆けて月次売上の減少と通期予想の下方修正を発表、その影響で同社の株価は東日本大震災以来9年ぶりの安値を付けている。

幸楽苑の下方修正は、外食産業の「下方修正ラッシュ」の序章なのだろうか? 詳しく見てみよう。

幸楽苑、2月下旬から客足が急減

幸楽苑,株価
(画像=K321 / shutterstock, ZUU online)

3月3日、幸楽苑は月次の売上推移速報(2020年2月分)を開示した。それによると2月の既存店売上高は前年同期比6.1%減、来客数は同6.4%減となった。今年度の幸楽苑は苦戦続きで、2019年10月には台風の影響で本拠地福島の郡山工場が一時操業を停止、同工場が供給している店舗が臨時休業となった。その結果2019年10月の既存店売上高は30.7%減と激減した。ちなみに、2019年4月〜2020年2月までの既存店は売上、来客ともに4.7%減となっている。

そうした中、今度は新型コロナショックが直撃、幸楽苑は補足説明として「新型コロナウイルスの影響を2月21日頃から大きく受けた」ことを明らかにしている。来月初旬には2020年3月分の売上推移速報の発表を控えているが、同月は新型コロナショックを背景とした国民の「巣ごもり行動」が加速したこともあり、さらなる悪化が危惧されている。

景気ウォッチャー調査、飲食関連は過去最低へ

新型コロナウイルスの影響は経済指標でも表面化し始めている。3月9日、内閣府が発表した景気ウォッチャー調査によると、2月の現状判断DIは前月比14.5 ポイント低下の27.4で、分岐点の50を大きく下回った。また、景気の先行きを示すDIは24.6で前月から17.2ポイント低下、先行きにも厳しい見方が広がっている。

景気ウォッチャー調査は小売店の従業員やタクシーの運転手など、働く人たち2000人余りに景気の実感をアンケート形式でたずねて指数化したもので、内閣府が2000年から毎月発表している。前述の通り分岐点は50でこれを上回ると好況感、下回ると不況感を示す。ちなみに、過去に30を下回ったのはリーマン・ショック時の2008年6月〜2009年3月、東日本大震災時の2011年3月〜4月であり、現状の景況感の悪化はそれらに匹敵するものとなっている。