米雇用統計
(画像=PIXTA)

アドバイザーたちは、新型コロナウイルスに関連した最近の市場・経済・税金関連の報道を背景に、顧客を支援し、精力的に活動しているものの、 新型コロナウイルスに関する独占情報を得た4人の米上院議員が株式を売却し市場混乱からポートフォリオを守った内容をソーシャルメディアに流している。

バッキンガム・ウエルス・パートナーズの公認会計士(CPA)・ファイナンシャルプランナー(CFP)・アドバンストプランニングのディレクターであるジェフ・レビン氏は、 「複数の議員たちが新型コロナウイルスのことは心配しなくても大丈夫」 と公言したのと同時に、非公開の説明会を受けて、保有株式を売却したことは、だれにとってもあやしい動きだ」 との問いかけから議論を始めた。

ケリー・ロフラー上院議員(ジョージア州選出・共和党)や他の3人の上院議員が、新型コロナウイルスの影響の可能性について1月下旬に微妙な説明を受けた後の株売買で非難を浴びている。

ロフラー議員とその夫であるニューヨーク証券取引所 (NYSE) のフェフリー・スプレッカー会長は、AutoZone、Resideo Technologies、Ross Storesなどの株式を売却した。報告書によると、ロフラー議員は同時にテレワーキング・ソフトウェア会社のCitrixとOracleに10万ドルから25万ドルの投資を行った。

一方、リチャード・バー上院議員 (ノースカロライナ州選出・共和党) とその妻は2月13日、約170万ドル相当の株式を売却した。デイビッド・パーデュー上院議員(ジョージア州選出・共和党)やジェームズ・インホフ上院議員(オクラホマ州選出・共和党)も市場下落の前に株式を売却したほか、ダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州選出・民主党)の夫も同様だった。

何をすべきか?

何人かの投資家やアドバイザーは、上院議員らが起訴されるか、上院から追放されることを提案している。「信じられない。本当なら起訴されるべきだ」 と俳優ブレット・ライス氏はツイートした。

しかしCFPのポール・ミグル氏は性急な判断はできないとし、「収益が7%上がった翌日にCitrixを買ったから?様子を見よう」 と述べた。

さらにミグル氏は、「新型コロナウイルスのことを口にしないのはひどいことだと思うし、決算発表後に普通株を売買したことで、いかにして犯罪的インサイダー取引法に違反したのか理解できないと言っている。多くのアドバイザーやCNBCは、世界的な新型コロナウイルス報道を巡り、ポートフォリオの変更を同時に推奨していた」 と説明した。

19日遅くにツイッターで株の動きを弁明したロフラー議員によると、 「これは馬鹿げた根拠のない攻撃だ。私はポートフォリオの投資決定をしない。投資の意思決定は、私や夫の知識や関与なく複数の第3者アドバイザーによって行われる」 という。「上院倫理委への定期的な取引報告書で確認されているように、私はこれらの売買について、3週間後の今年2月16日に知らされた」 と付け加えた。

CFPのカイル・ムーア氏は、 「ロフラー議員は、自分には思慮深い助言者がいて、自分も夫もその決定に関与していないと主張している。ありそうに思えませんか?私が報告書を読んだ時の最初の考えで議員はそれを確認した」 と述べた。

また弁護士は、ロフラー議員が投資の専門家に特定の取引を指示したという証拠がない限り、株式の動きは完全に合法である可能性があると示唆した。

スターク&スターク法律事務所のブライアン・カリス弁護士は「判断を下すには時期尚早だ。特に資産が盲目的信託(ブラインド・トラスト)となっていたとしたら、もっともらしい説明があるかもしれない」 と述べた。

ファインスタイン議員の開示には盲目的信託に関するものが含まれているが、ロフラー議員とバー議員を含む他の上院議員のものには含まれていない。上院の情報公開ウェブサイトには、盲目的信託やその他の文書が掲載されている。

カリス弁護士は、「任意の資産運用担当者が関与している場合は、その個人が取引が行われる前に取引について何の知識も持っていなかった可能性が完全に高くなる。取引が行われたという事実だけでは、誰もが不正行為の可能性を判断するには十分ではないが、人々が疑い深く、懐疑的であることには感謝している」と述べた。

今後の改革

数人の上院議員が、他の投資家が避けられなかった株価の下落を回避したという点を考慮すれば、政治家の株取引規制を変える時が来たという助言も出ている。

「なぜ選出された議員は在職中だけは株価指数運用だけという単純な規則に従わないのか?これほど明白な利益相反の直接投資はなく、CNBCのホストに対して既に実施されている。公務員だから株価指数運用なら良い」 とアドバイザーのジェフ・カーク氏はツイッターに投稿した。

ファイナンシャルプランナーのパトリック・オートマン氏は、この問題についてより広い視野を持つよう促し、「議員らが現金化しても構わない。むしろ議員らが国民に準備させるためにもっと多くのことをしなかったことに関心がある。説明会で大惨事が間近に迫っていることが明らかになったとしたら、なぜ他の参加者は屋上から叫ばなかったのだろうか?」とツイートした。

Janet Levaux
MA/MBAのJanet Levaux氏は、投資アドバイザー誌の編集長。1991年から金融市場を取材し、2005年からはアドバイザーを務める。イェール大学、ジョンズ・ホプキンス大学でラテンアメリカとヨーロッパに留学したのちに日本で勤務し、その後カリフォルニアでビジネスの学位を取得してから、故郷であるテキサス州サンアントニオに戻った。

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