米連邦準備制度理事会(FRB)は23日、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、新型肺炎コロナウイルス対応として、無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決めた。
しかし米国株は続落し動揺は収まっていない。一方、24日の日本株は大幅に続伸している。市場参加者によると、日本銀行による上場投資信託(ETF)購入拡大と為替市場での円安・ドル高傾向が株価の支えになっているという。欧米に比べて日本は感染者拡大が抑制されていることも背景に挙げた。
みずほ総合研究所上席主任エコノミストの野口雄裕氏は、24日ZUU onlineとの電話インタビューで、「FRBは金融政策を手一杯やっており、不安を鎮める効果があると思う。ただ問題は新型ウイルスなので、それだけで解決には向かいづらい。変動率が大きい米国株の動きが示唆している」と指摘。基本的に日米の株価は同じ方向に動き、日本株もこれまでかなり売られたとしながらも、「日本株は足元で日銀のETF購入と円安が支えになっている」と述べた。
3月末までの日経平均は1万6000円〜2万2000円を想定
野口氏は、日本株について、「日銀がETFを従来の1回当たり700億円から直近は2000億円買っていることへの期待感があると思う。また円安・ドル高が進んでいることも支援材料。ドルを持ちたい投資家が増え、ドルが買われ、円安になっている」と分析。「欧米に比べて日本は感染拡大が抑制できており、まだシャットダウン(閉鎖)は起きていない」とも語った。3月末までの日経平均株価は1万6000円〜2万2000円、ドル・円は1ドル=105円〜113円のレンジを見込んでいる。
24日の日本市場で日経平均株価は大幅続伸し、一時1万8000円台を回復した。ドル・円相場は一時111円35銭まで円安・ドル高が進んだ後、110円台で推移している。
米経済対策法案の議会通過も焦点
新型ウイルスの問題はいずれ収束するとの見方だが、不透明感が強く、まだ楽観するには至らない情勢だ。野口氏は、今後、世界的に悪い経済指標が出てくることを挙げ、「市場は、ある程度は織り込んでいるものの、マインド(心理)を冷やすだろう。企業倒産などが出てくれば、経済的に打撃になるだろう」と説明。米経済対策法案の議会通過も焦点とした上で、「最後は米議会を通ると思うが、家計に現金を配っても貯金に回る可能性もあり、すぐ景気にプラスには出ないかもしれない」と述べた。
その上で、「市場では、現金に替える動きから安全資産の国債ですら売られる動きがあったものの、金利は低下し、徐々に落ち着いて行くのではないか。新型ウイルスの感染者数の増加ペースが鈍化しないと安心できないため、ワクチンなどの開発が重要だが、時間がかかる。外出を控えて、感染の勢いが止まってくれば、落ち着いてくると思う」と語った。