市場関係者によると、世界的な新型肺炎コロナウイルス流行を受けた企業業績の悪化や日米マイナス成長の予想などを背景に、円高・株安方向への警戒が必要という。

市場では、日米政府が財政政策などを打ち出し、安心感はあるが、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大がピークを過ぎ、薬が開発されるまでは、先行き不透明感が強く、慎重な姿勢を維持すべきとの声が聞かれた。

あおぞら銀行総合資金部の諸我晃部長は、26日のZUU onlineとの電話インタビューで、月末までの為替・日本株について、「ドル・円は108〜112円のレンジを想定しており、下値めどは200日移動平均線の108円程度。上値は重くなるだろう。日経平均株価も、買い戻しは入るが、上値めどは2万円乗せるかどうか。当面の下値めどは2015年以来の安値1万5000円程度。まだ調整余地はあると思う」と下方向への警戒が必要との見方を示した。

月内の下値めどはドル・円が108円程度、日経平均が1万5000円程度

同氏は、ドル・円相場について、「昨日は米国の200兆円規模の財政出動の話で株が上昇し、リスクオンのドル高・円安になった」ものの、「米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などの政策を受けて、ドル需給の逼迫が緩和し、ドル売りの流れになり、リスクオフの円買い圧力が強まってくるだろう」と予想。「新型肺炎コロナウイルスがどれだけ長引くかによるが、ボラティリティ(変動率)が大きく、中期的には101円も視野に入る。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が資産配分を変更し、円高時のドル買い需要もあり、円の急伸は緩和されると思うが、円高方向への警戒は必要だ」と述べた。

日本株についても、「ここから上はイメージしにくい。売られ過ぎた分の買い戻しは入っているが、企業業績悪化となると、株も下方向で見ている」と言う。

今後、発表される経済指標には慎重な見方を示す。諸我氏は、「新型肺炎コロナウイルス拡大を受けて、今晩の米失業保険申請件数など実体経済への影響が懸念される。昨夜の小池百合子都知事の話もあるが、世界中の人・金の移動が制限され、景気はかなり悪いと思う。小売業などの減少に伴い雇用もかなり悪化すると思う」と予想。さらに「1−3月期については読みにくいものの、最悪期から底打ち局面までの4―6月期の米国内総生産(GDP)予想は年率マイナス10〜マイナス30%のレンジ内で年率マイナス20%程度を予想している人が多い。日本の4−6月期GDPも同じぐらいでおかしくない」と述べた。

26日のドル・円相場は1ドル=110円台で推移。日経平均株価は4営業ぶりに大幅反落、前日比882円03銭安の1万8664円60銭で引けた。小池知事は25日、緊急会見を開き、新型肺炎コロナウイルスの感染爆発の重大局面にあり、今週末の外出などを自粛するよう求めた。