市場関係者によると、米国の財政・金融政策への期待から日米株に買い戻しが入ったものの、新型肺炎コロナウイルスによる実体経済の悪化に関心が向かえば楽観は続かず、徐々に上値が重くなる見通しという。
SMBC信託銀行投資調査部の佐溝将司マーケットアナリストは、27日のZUU onlineとの電話インタビューで、今週の日経平均株価の見通しについて、「上値めどは25日高値の1万9564円から2万円手前。下値めどは1万8000円程度。米財政・金融政策が支えとなり週初に上値を試した後、徐々に現実に目を向け、週末にかけて下値を試す」と見込んでいる。
同氏は、米国の大規模経済対策期待や連邦準備制度理事会(FRB)の国債買い入れなどを挙げ、「米財政・金融政策の両輪による対応が進み、投資家心理に安心感が広がり、株売り圧力は低下している。株に買い戻しが入って反発した」と説明した。
30日から始まる週は、新型コロナ感染者状況、米雇用統計など経済指標、ドル・円相場などを注目材料に挙げ、「外出自粛の中で国内感染者数の拡大が続き、米国でも感染ペース拡大なら、日経平均株価が2万円を超えるのは難しいと思う。月初の米指標の悪化にも目が向かい、戻り一服の展開ではないか」と述べた。
ドル・円相場は緩やかに下方向か
ドル・円相場については、「緩やかに下方向か。下値めどは1ドル=105円程度。直近安値の101円17銭から直近高値の111円71銭までの半値押し106円程度まで下がっても不思議ではない。上値めどは3月24日高値の111円71銭」と見込んでいる。
同氏は、「FRBが流動性を供給していることもあり、ドルへの現金化が止まり、ドル需要の逼迫が和らいでいる。もともとFRBは大規模金融緩和をしており、投資家心理が落ち着いたらドル安が進みやすい」と分析した。
30日の為替市場でドル・円は107円台半ばまでドル安・円高に振れた。日経平均株価は反落して寄り付いた。