ニューヨークの街角から人影が消えた。3日20日、ニューヨーク州のアンドリュー・マーク・クオモ知事は新型コロナウイルス対策として「必要不可欠な一部業種を除く企業に対し、社員を100%自宅にとどめるよう求める」と述べた。警察や消防、医療従事者等を除くすべての事業者に対し、22日の夜から従業員の自宅待機を義務づけ、違反した企業には罰金を科すとしたうえで「感染増加のペースを抑えるために現在取り得る最も徹底的な措置だ」と理解を求めた。

新型コロナショックで人々の移動が制限される中、多くの企業がこれまで経験したことのない試練に直面している。たとえば大手配車サービスのリフトについては買収のターゲットになるとの観測まで飛び出している。ちなみに、リフトは昨年3月29日に米ナスダック証券取引所に上場、初値は公募売り出し価格(72ドル)を21%上回る87.24ドルで上々な滑り出しを見せていた。ただし、その後は黒字化の見通しがはっきりしない中、株価はおおむね右肩下がりで推移、新型コロナショックも重なり、今年3月25日現在の株価(終値)は27.95ドルで年初来の騰落率は35.9%の下落となっている。

果たしてリフトは新型コロナショックの試練を乗り越えられるのか?
今回はリフトの最新動向をリポートする。

10~12月は赤字拡大、売上・利用者数は増加

リフト,株価
(画像=TadaImages / shutterstock, ZUU online)

リフトの2019年10~12月期決算は増収ながらも赤字を拡大した。純損益は3億5600万ドルの赤字、調整後純損益は1億2140万ドルの赤字となった。調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)は1億3070万ドルの赤字で、前年同期(2億5110万ドルの赤字)から改善、金融調査会社のファクトセットがまとめたアナリスト予想(1億6500万ドルの赤字)を下回っている。

一方、売上高は52%増の10億2000万ドルと初めて10億ドルを突破。市場予想の9億8420万ドルを上回り、リフトが想定していた9億7500万~9億8500万ドルのレンジも上回っている。リフトによると、同社が開発したアプリ経由で10~12月期中に1回以上乗車したユーザー数を示す「アクティブライダー数」は23%増の2290万人、アクティブライダー1人当たりの収入も同じく23%増の44.40ドルと好調で売上増に寄与した。

ただ、2019年(通期)の純損益は26億ドルの赤字で、前年の9億1100万ドルの赤字から3倍近くに膨らんでいる。

リフトは2020年1~3月期の売上について「36~37%増の10億5000万~10億6000万ドル」と予想。調整後EBITDAについては「1億4000万~1億4500万ドルの赤字」を見込んでいる。また、2020年12月期(通期)については、売上高を「27~29%増の45億7500万~46億5000万ドル」と予想。調整後EBITDAは「4億5000万~4億9000万ドルの赤字」の見通しを示している。

黒字化を目指すが…買収のターゲットになるとの観測も