新型肺炎コロナウイルスによる不透明感が続く中、市場関係者によると、4月1日の新年度入り後、投資家による積極的な売買は難しい見込みという。
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは31日、ZUU onlineとの電話インタビューで、新年度入り後の投資家動向について、「銀行など金融機関は、対面で議論ができない状況下、シフト制や自宅勤務などでは大きな売買はできないと思う」と述べた。
同氏は、「怒涛の3月だったが、各国中央銀行が流動性対策に必死に取り組んだ結果、日本は無難に期末を越えられそう」としながらも、「期末に損切りせずに新年度を迎えた投資家が4月期初にいったん利益確定売りを出すのか、そこで買うのかに注目。ただ3月中にポジション(持ち高)を落とした後、4月期初に大口の売買をするのは難しいと思う」と説明した。
新年度の日経平均株価は1万7000円〜2万1000円程度、ドル・円相場は1ドル=104円〜112円程度のレンジを見込んでいる。
30日の米国株式市場は大幅反発した。ジョンソン・アンド・ジョンソンが新型肺炎コロナウイルスのワクチン開発で9月までに臨床試験開始と発表したことや大型経済対策期待などが支援材料となった。
一方、31日の日本株は続落。前日比167円96銭安の1万8917円01銭で引けた。ドル・円相場は108円台で推移しており、前日の107円台から若干ドル高・円安に振れている。
岩下氏は、「現在の108円前後は104円〜110円の半値ぐらい。前日はドル需要が落ち着き、上がり過ぎた分を戻してやや円高・ドル安に振れたが、これから一段と円高が進むとは思わない。リスク回避の動きが深まらないと102円まで戻る展開にはならない」と述べた。
来年度GDPは4−6月期次第
来年度の国内総生産(GDP)に関しては、「一時期のような悲壮感はないが、世界的な外出・渡航禁止などを背景に楽観的になるには材料不足」と指摘。自動車産業の生産・販売の回復には時間がかかり、「経済のV字回復は無理だと思う」と述べた。
その上で、「4−6月期に新型肺炎コロナウイルス感染の勢いが止まるか、新薬開発などで感染拡大のピークを打ち、安心感が出るか次第。4−6月期に安心感が広がり、落ち込みが止まり、渡航禁止などが緩むような状況にならないと、7−9月期以降も低迷した状況が続きそう」と語った。
また「市場は、ボラティリティが高い中、下値が切り上がるならV字回復するかもしれないが、経済は欧米の感染拡大ペースが止まらないと、完全に大丈夫とはならないと思う」と語った。