日本銀行は1日、3月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)を発表した。新型肺炎コロナウイルスの影響などを背景に、大企業・製造業の業況判断DIはマイナス8と7年ぶりのマイナス、非製造業DIはプラス8となり、前回(製造業ゼロ、非製造業プラス20)から悪化した。
2020年度の為替想定レートは、全規模・全産業で1ドル=107円98銭、大企業・製造業(輸出企業)で107円64銭だった。1日のドル・円相場は107円台で推移している。
市場では、為替想定レートは足元の水準から大きく乖離しておらず、ドル・円は目先105―110円のレンジを見込む声が聞かれた。
東海東京調査センターの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは1日、ZUU onlineとの電話インタビューで、日銀短観について、「全体的にセンチメントは悪化したが、大企業・製造業がマイナス8と市場予想(マイナス10)よりはやや良かった。市場予想がばらついていたこともあり、大目に悪化を織り込んでいたのだろう。為替想定レートは普通の水準」と分析した。
ドル・円相場については、「米国の新型コロナ感染者数が中国を抜き、欧州も死亡率が上昇しており、影響が大きい」としながらも、「大きく円高に振れるとは思わない。いずれウイルスは終息すると思う」との見方を示した。
同氏は、今週のドル・円相場は105円50銭〜109円50銭のレンジを見込んでおり、「105円では下げ止まる半面、110円は超えにくい」と述べた。
新型コロナ感染拡大は4月後半にはピークアウトする可能性
米連邦準備制度理事会(FRB)による緊急利下げ、大規模金融緩和、ドル資金供給を挙げ、「ドル売り圧力があり、リスクオフで円が買われやすく、足元でドル安・円高に振れている。経済活動が抑制され、時間が経てば景気へのダメージが大きくなるため警戒感を持って見ている」としながらも、「イタリアやスペインは感染者・死亡者の拡大ペースが鈍化し、中国も新たな感染者はあまり出ていない。4月後半にはピークアウトする可能性がある」と述べた。
今週は、米国で1日発表の供給管理協会(ISM)景況指数、2日発表の新規失業保険申請件数、3日発表の雇用統計と重要指標が多い。
柴田氏は、「市場予想よりも悪い数字となれば、リスクオフムードになる可能性はあるが、一時的だろう。政府・中央銀行が大規模な政策を行っており、過去の数字と受け止められるのではないか。一時的には円高になりやすいものの105円を割れないと思う」と語った。