前日の米国株の急反発を受けて、3日の日経平均株価は5営業日ぶりに小反発。前日比1円47銭高の1万7820円19銭で引けた。サウジアラビアとロシアによる原油減産観測を背景に、原油価格の上昇を受けた米エネルギー株上昇が支えとなった。
もっとも市場関係者によると、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大を背景に、3日発表の米雇用統計悪化が見込まれているほか、日本政府が早ければ来週にも緊急事態宣言を出す可能性があり、日本株の上値は重い展開が見込まれている。
原油価格上昇が米国株の支えに
ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは3日、ZUU onlineとの電話インタビューで、日本株について、「トランプ米大統領がサウジアラビアとロシアが原油減産を発表するとツイートし、これまで原油供給過剰懸念が強かったが、原油価格が約2割上昇し、米エネルギー株が上昇した。米国株高を受け日本株も上昇した」と説明した。
同氏は、「両国で最大日量1500万バレルの減産となれば、世界の需要が1億バレルなので15%規模の減産になる。新型肺炎コロナウイルスを主因としてリスクオフ(回避)に動いていたほか、原油安も株安に拍車をかけていたが、原油価格上昇が株の支えになった」と分析した。
来週の日本株の下値めど1万6800円、上値めど1万8500円
6日から始まる来週の日本株の見通しに関して、上野氏は「上値は重たい展開だろう。下落の可能性が高い。下値めどは1万6800円程度と3月23日終値(1万6887円78銭)近辺。下に厚い印象。上値めどは1万8500円程度」と予想する。
同氏は、米新規失業保険申請件数が過去最大の増加だったことを挙げ、「米雇用統計もかなり悪い数字が見込まれており、新型コロナの米経済への影響が再確認されそう。8日発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で金融緩和姿勢も再確認され、円高方向に作用するかもしれない」と説明した。
さらに、日本政府が緊急事態宣言を来週にも出す可能性を見込んでおり、「東京都が外出自粛を指示してもおかしくない。日本の国内総生産(GDP)の約2割を占める東京都の活動が止まれば、経済にマイナス。日本株の重しになる可能性がある」と述べた。
ただ日本株の反応に関しては、「どこまで織り込んでいるか不透明。いったん下落して急反発する可能性がある。底値を狙っている人もおり、『噂で買って事実で売る』の逆のパターンもあり得る。半面、足元で上昇しているだけに素直に下げる形になるかもしれない」と述べた。