トマトにオニオン、コーン、パンプキン……キャンベル・スープ・カンパニー(以下、キャンベル)の缶スープといえば、かつては米国で「ママの味」と称され絶大な人気を誇ったものである。近年は人気凋落で株価も低迷し、アナリストの投資判断も「セル(売り)」が定番となっていた。そのキャンベルの業績がここにきて改善傾向を示している。ウォール街の市場関係者からは「帰ってきたママの味」(アナリスト)とその復活を歓迎する声も聞かれる。
今回はキャンベル復活の背景についてリポートする。
11~1月期は黒字転換、アナリスト予想上回る
キャンベルの11~1月期(第2四半期)決算は、純損益が12億1000万ドルの黒字、1株利益は3.97ドルの黒字となり、前年同期の5900万ドルの赤字、0.20ドルの赤字からそれぞれ黒字転換した。調整後1株利益は0.72ドルで、金融調査会社のファクトセットががまとめたアナリスト予想の0.66ドルを上回っている。一方、売上高は0.5%減の21億6000万ドルとわずかに減少したものの、アナリスト予想の21億5000万ドルは上回った。
キャンベルは2020年7月期(通期)について、1株利益のレンジを2.55~2.60ドルと予想、従来の見通しから0.05ドル引き上げている。同時に売上高は前年の81億ドルからプラスマイナス1%のレンジで据え置いている。ウォール街では「キャンベルの見通しには新型コロナショックの影響が考慮されておらず、かなり保守的」(前出アナリスト)と指摘する声も聞かれる。
健康戦略でミレニアル世代にアピール
4月6日現在のキャンベルの株価は47.85ドル(終値)で、年初来の騰落率は1.3%の下落となっている。同期間のS&P500は18.2%下落しており、キャンベルは市場平均を約17%ほどアウトパフォームしている。
新型コロナショックで株式市場全体が地盤沈下する中で、キャンベルが何とか踏みとどまっている要因として指摘されるのが「缶スープ革命」(前出アナリスト)だ。近年、米国では健康志向が強まっており、加工食品は敬遠されがちであった。ところが、11~1月期は米国のミレニアル世代を中心にキャンベルのトマトスープ缶が人気となり、販売増加をけん引しているのだ。