週明け6日の日経平均株価は前週末比756円11銭高の1万8576円30銭で引けた。市場関係者によると、海外の一部で新型肺炎コロナウイルス感染者数の拡大ペースが鈍化し始めており、米国株先物が上昇していることに加え、安倍晋三政権が緊急事態宣言を出す意向を固めたとの報道を受けて対応進展期待が支えになったという。ただ景気や企業業績の悪化に対する警戒感は強く、持続的な株価の上昇には懐疑的な声が聞かれた。
新型コロナへの政府対応や海外の感染拡大ペース鈍化を好感
アセットマネジメントOneの村上尚己シニアエコノミストは6日、ZUU onlineとの電話インタビューで、日本株の大幅上昇について、「新型肺炎コロナウイルス感染状況を背景に、政府が緊急事態宣言を出す方向と報じられ、政府が対応する姿勢を示したことや、米株先物が上昇していることが支え。日本は感染者数が増えているが、自粛や都市封鎖などにより、コントロールしていく姿勢だ。一方、ニューヨーク州やイタリアなど海外では感染者拡大ペースが鈍っていることも好感されている」と説明した。
日本経済新聞によると、安倍首相は6日、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大を受け、近く緊急事態宣言を出す意向を固めた。また同紙は、ニューヨーク州のクオモ知事が5日、1日あたりの死者数が初めて前日より減ったと発言したと伝えた。
株価の上昇持続には懐疑的
もっとも株式市場の見通しに関しては慎重な見方を示す。村上氏は、「持続的な株高をもたらす可能性は低いと思う。株が上昇し続けるかについては懐疑的」と指摘。「小康状態入りで買われているだけ。景気や企業業績が悪化することは織り込んでいるが、どのぐらい厳しい状況になるのか次第で下振れの可能性はあると思う。リーマンショックを越えるのか。市場は半分ぐらいの織り込みで不十分だと思う」と述べた。
同氏は、景気後退や企業業績の悪化については、「市場は分かっているのでいったん株が反発することはあるだろう。ただ企業業績などはもう少し幅を持って見ていく必要がある。また新型肺炎コロナウイルスの感染がいつまで続くのか見極める必要がある」と説明し、「4月半ば以降に状況が改善するなら、底入れへ向かうだろうが、1、2か月先の話ではないか。悪材料出尽くしになるのかまだ懐疑的」と語った。