新型コロナウイルスによる打撃「コロナショック(Corona Shock)」が世界中で拡大する中、主要機関や銀行は、軒並み世界経済の見通しを引き下げた。

「世界のGDPが約218兆円低下」「米国で1カ月に500万人が失業する」という最悪のシナリオが現実となる可能性や、今後の見通しについての専門家の意見はさまざまだ。

経済的コロナショック 世界のGDPは約218兆円低下?

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(画像=ImageFlow/shutterstock.com, ZUU online)

オックスフォード・エコノミクスのグローバルマクロ研究部門責任者ベン・メイ氏は、「経済的観点から言うと、感染者の数だけではなく、ロックダウン(閉鎖・封鎖)などによるビジネスへの影響がどれほどの規模になるかも重要だ」と述べている。

ロックダウンは、地理的な国境封鎖から、特定のビジネスの閉鎖、イベントなどの開催禁止、外出の自粛まで、感染拡大を阻止するための広範囲な規制や対策を指す。

多数の国が飲食店や小売店、レジャー施設などの営業を禁じ、可能な限りの在宅勤務を呼びかけているが、こうした措置がもたらす経済的な打撃は計り知れない。

国連は、「最悪の予想」が現実となった場合、世界の国内総生産(GDP)は2兆ドル(約215兆8177億円)相当低下し、経済成長率は0.5%に落ち込むと予想している。

企業の最大の懸念は「経済的影響」「人手不足」

KPMGの分析によると、「韓国、イタリア、日本が、主要な先進工業国の中で最も影響を受けている」、さらに「フォーチュン1000企業(売上高上位の米企業1000社)の94%も、影響を受けている」としており、国境やビジネスの規模に関係なく、コロナショックが拡大していることが分かる。

ビジネス上のコロナショックの影響は、消費や売上、生産の減速だけではなく、従業員への休業補償やリモートワークの準備、感染予防対策、顧客への対応まで、広範囲にわたる。

国際コンサルティング企業マーサーが3月に実施した調査では、624の回答の中で67.15%が最大の懸念として、「通常業務の中断による経済的影響」、58.17%が「病欠で従業員が不足すること」を挙げた。

大規模なロックダウンが続く米国、1カ月の失業者数は最大500万人?

国内の複数の都市が封鎖されている米国では、小売業から石油・ガス産業まで、広範囲にわたって既に何百万人もの労働者が職を失い、パンデミックの拡大とともに失業者の増加が深刻化の一途をたどっている。

その結果、3月末までの2週間だけで、約995万人が失業手当を申請。米国労働省の元チーフ・エコノミスト、ウィリアム・ロジャース氏の算出によると、2月に3.5%だった失業率がわずか2週間で17%に急上昇したことになる。

経済調査コンサルタント企業パンテオンマクロ経済学のチーフ・エコノミスト、イアン・シェパードソン氏は、4月の失業者数が、前金融危機時をはるかに上回る、最大500万人に達する可能性を指摘。

シティグループのエコノミスト、ヴェロニカ・クラーク氏も、「4月中旬までに生活やビジネスが正常な状態に戻らない限り、数百万人が失業しても不思議ではない」と、同様の見解を示している。

世界中で信用格付けが低下 イタリアは投資適格級の格付けを失う可能性も?

こうしたネガティブな流れは、各国の信用格付けにも反映している。