新型肺炎コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本政府は7日、7都道府県を対象に緊急事態宣言を発令した。同時に事業規模が約108兆円、財政出動が約39兆円に上る過去最大の経済対策を決定した。8日の日経平均株価は、4営業日続伸し、前日比403円06銭高の1万9353円24銭と大幅高で引けた。ドル・円相場は1ドル=108円台で推移している。
市場関係者によると、新型コロナ感染動向を見極めたいと様子見姿勢が強い中、当面のドル・円は徐々に下値を切り下げる流れ、日本株はもみ合いの展開が見込まれている。
ドル・円は緩やかに下値を切り下げていく流れ
りそなホールディングスの梶田伸介チーフストラテジストは8日、ZUU onlineとの電話インタビューで、金融市場の見通しについて、「大規模経済対策を受けて、新型コロナショックは一巡し、反動で戻したが、方向感は出にくい。緊急事態宣言の効果が出て収束が期待できるのかを見極めたい」と説明し、今月中のドル・円は106円〜110円程度、日経平均株価は1万7000円〜2万円程度のレンジを予想している。
同氏は、ドル・円について、「米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート拡大により、ドルの流動性供給が増え、ドル高は一服している。ドル安になる流れから、ドル・円は緩やかに下値を切り下げていく流れ」と見込んでいる。
一段と危機感が高まる状況ではない
日本株に関しては、「経済対策に加え、中国やイタリアでは感染者数の拡大がピークアウトしつつある。中国は経済指標も改善しており、生産活動の再開に動いている。一段と危機感が高まる状況ではない」と指摘。ただ、「実体経済は、今後の経済指標などで相当悪化する可能性がある。新型コロナの感染拡大が収まれば、株価が下値を再び割り込むことはないだろうが、上値も重いだろう」と述べた。
その上で、「日本は、緊急事態宣言が出ても、状況があまり変わらないとの見方がある。店舗閉鎖などの先を展望できるのか。海外の一部では感染拡大が一服しているが、日本はまだ厳しい状況。感染拡大に一服感が出て、上値を試せるのか、状況を見極めたい」と語った。