米連邦準備制度理事会(FRB)は9日、新型肺炎コロナウイルス感染拡大への対応策の一貫として、総額2兆3000億ドルの企業・地方政府への追加支援策を発表した。
9日の米国市場でダウ平均株価は続伸し前日比285.80ドル高の23719.37ドルで終了した。10日の日経平均株価は反発。買いが先行し1万9500円07銭の高値を付けた後は、戻り売りに押されて伸び悩み、前日比152円73銭高の1万9498円50銭で引けた。
市場関係者によると、今週の日本株は米国株主導で上昇したものの、来週は、14日発表の国際通貨基金(IMF)世界経済見通し、17日発表の1−3月期の中国国内総生産(GDP)、日米企業決算への警戒感が強く、下値リスクに注意が必要という。
FRB政策支えも、IMF見通し・中国GDP・企業決算が重しに
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは10日、ZUU onlineとの電話インタビューで、日本株の見通しについて、「2万円台乗せは遠く、上値めどは1万9000円台後半。下値めどは25日移動平均線のある1万8500円程度」と語り、来週の日経平均株価は1万8500円〜1万9900円程度のレンジを見込んでいる。
同氏は、「IMF世界経済見通しで新型コロナの影響を見極めたい。ある程度想定されているとはいえ、深刻な数字が出れば、株は売りで反応しやすい。中国GDPもマイナス成長が見込まれている。また月末にかけて日米企業の決算期が近づき、決算動向にも注目。今回は、ガイダンスを出すところが少なく、業績が見通しにくいと売り材料になりやすい」と説明した。
景気や企業業績など慎重に見た方が良い
その上で、「今週はFRBの追加対策などが好感され、米国株につれて日本株も上がったが、景気や企業業績など、まだ慎重に見た方が良いと思う。世界的な感染者動向には明確なピークアウト感がなく注意が必要。下値リスクに警戒した方が良いと思う」と述べた。
ゲオルギエワIMF専務理事は9日、新型コロナの影響で2020年の世界経済成長率が「大幅なマイナスに陥ることは明白だ。世界恐慌以来、最悪の不景気になると予測している」と発言し、世界経済が1929年から始まった世界恐慌以降で最悪の不景気に陥るとの危機感を示した。