百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス(以下、三越伊勢丹) <3099> の株価が低迷している。後段で述べる通り、3月の売上高は過去最大の落ち込みを記録、さらに4月7日の緊急事態宣言を受けて首都圏の主力店舗の臨時休業を決定するなど情勢は厳しさを増している。三越伊勢丹株の年初からの下落率は47%に達し、三越と伊勢丹の統合後(2008年4月1日〜)の最安値を更新している。

新型コロナショックは世界の百貨店業界に及んでおり、米百貨店大手のメイシーズは全従業員13万人の大部分を一時解雇、コールズも全従業員の約7割にあたる8万5000人を一時解雇すると発表した。さらに高級百貨店のニーマン・マーカス・グループは米連邦破産法11条の準備を開始したとも伝えられている。日本の百貨店業界も正念場を迎えそうな雲行きで、とりわけ最大手の三越伊勢丹の動向が気掛かりだ。

インバウンド壊滅、百貨店売上が激減

三越伊勢丹,株価
(画像=NedSnowman / shutterstock, ZUU online)

4月6日、三越伊勢丹の株価は統合後の最安値となる525円を記録、年初からの下落率は47%に達した。日経平均は同期間で23%下落しているが、三越伊勢丹はその2倍の下落率であり、百貨店業界はそれだけ厳しい状況にあると見られる。ちなみに、525円といえば2011年の東日本大震災時の安値680円、100年に一度の金融危機と呼ばれたリーマン・ショック後の2009年に付けた599円をも下回る水準だ。三越伊勢丹の株価はすでに東日本大震災、リーマン・ショックを超える不況を織り込みはじめているのかも知れない。

実際、大手百貨店発表の3月の既存店売上(速報)は三越伊勢丹が39.8%減、J.フロント リテイリング <3086> が43.0%減、高島屋 <8233> が36.2%減など各社とも30〜40%台の落ち込みとなっている。2011年3月の東日本大震災時の百貨店売上高は14.7%減、リーマン・ショック後で最大の落ち込みとなった2009年5月が12.3%減であり、今回の落ち込みがケタ外れであることが分かる。