国際通貨基金(IMF)は14日、世界経済見通しを公表し、新型肺炎コロナウイルス感染拡大の影響などを背景に、2020年の世界経済成長率予測をマイナス3.0%へ引き下げた。一方、2021年はプラス5.8%へと急反発する見通し。ただ3つのリスクシナリオを挙げ、今後の感染動向への懸念も示した。
15日の日経平均株価は小反落。前日比88円72銭安の1万9550円09銭で引けた。ドル・円相場は1ドル=107円前後で推移している。
IMF経済見通し慎重だが日本株は下げ渋り
りそなホールディングスの梶田伸介チーフストラテジストは15日、ZUU onlineとの電話インタビューで、金融市場の動向について、「IMFの経済見通しは慎重なトーンだったが、日本株はしっかりしており、底固い印象。3つのシナリオを示し、新型コロナの影響長期化への警告もあった。ただ各国政府・中央銀行の対応により、市場は落ち着いており、良い方に目が向いている。為替は全般的にドル安傾向」と説明した。
同氏は、政府・日銀の政策で安心感が出ているほか、世界的な感染者数の拡大ペースが徐々に鈍化していることを挙げ、4月中の日経平均株価の上値めどは2万500円程度、下値めどは1万7000円程度と予想している。
ドル・円相場に関しては、米連邦準備制度理事会(FRB)が信用力の低い社債などを買い入れる政策などに言及し、「金融緩和効果が出ており、ドルのひっ迫感が薄らぎ、ドル安が進んでいる。ドルの上値は重く106円目指す流れ」と語り、4月中は105円50銭〜109円50銭程度のレンジを見込んでいる。
新型コロナ感染動向で市場は両にらみ
梶田氏は、新型コロナの感染動向に関して、「2021年への長期化リスクもあるが、逆もあり、両にらみ。足元で感染が落ち着き、株が戻るシナリオもあり得る。市場は徐々に楽観へ変化しているタイミングだが、完全に楽観的にもなれない」と指摘した。
またトランプ米大統領は外出禁止を解除したい意向だが、ニューヨーク州のクオモ知事はまだ警戒姿勢とした上で、「感染が落ち着くか目途がたたない中で、外出禁止を解除しても不透明感は変わらない。感染拡大懸念が残れば、市場の警戒感は残る」と語った。
日本経済新聞によると、トランプ米大統領は14日、新型コロナの影響で停滞している経済活動の再開方法を話し合う協議会を設置したと発表。感染者が少ない地域から外出制限の緩和を認める新指針を近く公表する見込みという。