16日の米ダウ平均株価が反発した流れを引き継ぎ、17日の日経平均株価は大幅に反発し、前日比607円06銭高の1万9897円26銭で引けた。ドル・円相場は1ドル=107円台で推移している。
市場参加者によると、米医薬品会社ギリアド・サイエンシズが開発した抗ウイルス薬レムデシビルが新型肺炎コロナウイルスに有効との治験結果が一部で報じられたことに加え、トランプ大統領が会見で段階的な経済活動再開の指針を発表したことが支援材料という。
来週の日経平均株価は、1月17日の年初来高値(2万4115円95銭)から3月19日の年初来安値の半値戻しとなる2万200-300円が上値めど、下値めどはこれまでの上値めど1万9500円と見込まれている。
新型コロナ治療薬に期待感
SMBC信託銀行の佐溝将司マーケットアナリストは17日、ZUU onlineとの電話インタビューで、日本株の急反発について、「米ギリアドが開発したレムデシビルが新型コロナに効いているというシカゴでの治験結果報道が大きな材料だと思う。このまま一般的に出回るという話ではないが、治験の進ちょくに注目が集まっており、好材料に反応している。トランプ大統領の経済活動再開示唆を織り込んだ流れも出ている」と説明した。
来週の日経平均株価見通しでは、新型コロナ治療薬、米経済活動の正常化、原油相場などを注目材料に挙げ、「1月高値から3月安値の半値戻し2万200-300円達成が上値めど。一方、米感染状況が急拡大しない前提で、これまでの上値めど1万9500円を抜け、同水準が下値めどとして意識されそう」と予想した。
同氏は、「米国株先物も上昇しており、コロナ治療薬を好感する流れで、来週前半は上がりやすいが、後半は上値が重くなりそう。日本は感染者数の拡大に歯止めがかかっておらず、景気は不透明で2万円台の定着は難しいだろう。原油安も投資家心理を悪化させている」と述べた。
トランプ大統領とニューヨーク州知事の足並み揃わず
またニューヨーク州のクオモ知事が外出禁止令を来月15日まで延長を決めたことを挙げ、「トランプ大統領は経済活動を早く正常化したい意向だが、ニューヨーク州はロックダウン(都市封鎖)を2週間延長し、州によって対応が異なる。英国ロンドンなどもロックダウンを延長した」と指摘。
その上で、「米国全土で一気に活動再開という訳ではなく、どういうペースで活動を再開するか、経済がどの程度上向くか不透明。感染がひどくないところから段階的に活動を再開する方向だが、容易ではない」と語り、過度な悲観は後退しているものの、楽観にもなれないとの見方を示した。
中国の経済指標に関しては、「各国とも足元の指標は悪いことが想定されている。国内総生産(GDP)は過去の数字。中国はいち早く感染拡大がピークアウトして経済活動の正常化を進めており、月末30日の中国購買担当者景気指数(PMI)などの方に注目が集まるだろう」と述べた。
中国国家統計局が17日に発表した1―3月期の実質GDPは前年同期比6.8%減少となり、四半期ベースで比較可能な1992年以降で初のマイナスに転落した。