米国,原油,生産量
(画像=Ronnie Chua/Shutterstock.com)

世界的な新型肺炎コロナウイルス流行によるロックダウン(都市封鎖)や外出自粛などを背景に、原油需要が激減し、20日の米原油先物市場で史上初のマイナス取引となった。ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の期近物5月限の清算値は1バレル=マイナス37.63ドルだった。

市場関係者によると、原油価格や株価の本格的な回復には、世界主要都市の経済活動の再開が鍵という。

原油先物の限月乗り換えが遅れた投資家が投げ売り

明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミストは21日、ZUU onlineとの電話インタビューで、「原油価格がマイナスで値決めされ驚いたが、新型コロナ情勢下で起きた動き。原油先物特有の歪みにより、5月限が約マイナス40ドル、6月限が約プラス20ドルと1か月で60ドルも差がある。5月限から6月限への乗り換えが遅れた投資家が在庫を持てずに投げ売りした」と説明した。

同氏は、「オクラホマ州クッシングの原油受け渡し在庫の要因が大きく、ファンダメンタルズを反映したものではない」としながらも、「需給が緩んでおり、目先は低迷が続くだろう」と語り、目先は大きな変動が生じやすいとの見方を示した。

一方、北海ブレント原油受け渡しは約20ドルで推移しており、タンカーが在庫代わりになっていることを挙げ、「今回はWTI特有の要因。来月は早めに乗り換えを行い、繰り返す可能性は低いと思う」と述べた。

今後3か月間の日経平均は1万8500円〜2万1000円のレンジ予想

20日の米ダウ平均株価はエネルギー関連株の下落に伴い急落。前日比592.05ドル安の23650.44ドルで引けた。21日の日経平均株価は続落し、前日比388円34銭安の1万9280円78銭で引けた。

小玉氏は、株価動向は新型コロナ情勢次第とした上で、「米国ではニューヨークなどがピークアウトし、イタリアなど欧州でも最悪期を過ぎたので株は上昇してきたが、先行き予断は許さず、変動しやすい地合いは残る。収束に向かっても再び流行したり、収束しても完全に終わる可能性は低い」と指摘。「経済と同様に株も大底は付けた印象はあるが、感染拡大と収束を繰り返す波の大きさを見極められず、安定的に上がっていく訳には行かないだろう」と語った。

今後3か月間の日経平均株価は1万8500円〜2万1000円程度のレンジを見込んでおり、「下値めどは、4月初めの1万8000円割れまでは行かないと思う。上値めどは、年初来高値から年初来安値の半値戻しより少し上の水準」と説明した。

また主要都市の経済活動再開が焦点とし、「ロックダウンが解けないと経済は上向かない。米国は、段階的に解除といってもどの程度のスピードなのか。日本も大型連休明けに経済活動を再開できるのか。経済活動のウエートが大きい都市部が再開しないと景気も戻らないと思う」と語った。