米国では2020年1~3月期の決算発表が本格化している。新型コロナショックによる減益決算が相次ぐ中、ウォール街で注目を集めているのが「生活必需品セクター」だ。3月の非常事態宣言で、全米各地のスーパーマーケット等では消費者のパニック買いが発生、マスクやトイレットペーパー、洗濯用洗剤、かぜ薬等を備蓄する動きが広がる中、生活必需品セクターは増収増益を鮮明にしている。

今回は最大手のプロクター・アンド・ギャンブル(以下、P&G)を中心に「生活必需品セクター」の最新動向をリポートしたい。

1~3月期は増収増益、米国の売上が好調

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(画像=JonathanWeiss / shutterstock, ZUU online)

P&Gの2020年1~3月期決算は増収増益となった。純利益は前年同期比6.3%増の29億1700万ドル、1株利益は同7.7%増の1.12ドル、一時項目を除く調整後1株利益は1.17ドルでこちらも市場予想の1.13ドルを上回った。

売上高は5%増の172億1400万ドルで、こちらは市場予想の174億6000万ドルに届かなかった。ただし、為替変動や買収・合併等の影響を除いたベースでの売上高は6%増加している。地域別では米国の売上高が10%増と好調で、全体の増加に寄与した。3月の非常事態宣言を受けて日用品類を備蓄する動きが広がったことが追い風となった。ただ、その一方で中国の売上高は8%減少している。

部門別ではヘルスケア部門の売上高が9%増、ホームケア部門が10%増と好調だった。一方、化粧品部門はアジアでの落ち込みが響いて1%増にとどまったほか、ひげそり部門は1%減少している。

2020年6月期の見通しは据え置き

P&Gは2020年6月期(通期)の見通しについて、売上の伸びを従来の4~5%から3~4%に引き下げている。P&Gの売上高の約60%を海外が占めているが、新型コロナ危機で米国以外でドル不足が深刻化、為替のドル高傾向が見込まれることを考慮したという。ちなみに、為替変動等を除くベースでの売上の伸びは4~5%増、調整後1株利益は8~11%増といずれも従来見通しを据え置いている。

そもそも米国企業では新型コロナ危機の業績に与える影響が不透明なことから、業種を問わず見通しを取り下げているところが多い。そうした中で、P&Gの見通し据え置きは極めて珍しい。中核事業が生活必需品であることから、新型コロナ危機の影響も良くも悪くも軽微にとどまっているようだ。