「親子上場」解消の動きが本格化 ? TOBやM&Aで企業の株価はどう動くのか
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27日の米ダウ平均株価は前日比358.51ドル高の24133.78ドルで引けた。一方、28日の日経平均株価は前日の急伸から小反落。前日比12円03銭安の1万9771円19銭で引けた。ドル・円相場は1ドル=107円台前半で推移している。

市場関係者によると、新型肺炎コロナウイルス感染拡大が鈍化しつつある中、欧米の一部で経済活動再開の動きとなっているほか、各国中央銀行による金融緩和策の継続が株価の支えになっているという。ドル・円相場は、足元は動意薄ながらも、ドル余剰感を背景に、中長期的には下落傾向との声が聞かれた。

株は流動性が大量にあることが支え、企業業績見合いではない

三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは28日、ZUU onlineとの電話インタビューで、日経平均株価について、「米国は一部で経済再開の動きだが、日本は別。5月6日以降も自粛延長の可能性があり、欧米と差がある。日経平均株価の2万円台は遠い」と指摘。もっとも、「株は流動性が大量にあることが支えになっており、7−9月期に回復する方向性で動いている」との見方を示した。

同氏は、日本銀行の『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』に言及し、「今年度は弱く、デフレに近い状況。経済指標は悪い数字が出る見通し。過剰流動性により株高になっているが、企業業績見合いではない」とも分析した。

4月の日銀「展望リポート」によると、2020年度の実質国内総生産(GDP)は前年度比マイナス5.0〜マイナス3.0%、2021年度はプラス2.8%〜プラス3.9%の見通し。消費者物価指数(生鮮食品を除く)は2020年度がマイナス0.3%〜マイナス0.7%、2021年度は0.0%〜プラス0.7%が見込まれている。

ドル・円は105円〜110円レンジの真ん中で動意薄

ドル・円については、「現在は105円〜110円のレンジの真ん中107円50銭近辺と居心地の良い水準なので動意に欠ける。もっとも米連邦準備制度理事会(FRB)バランスシートや米財政状況の劣化があり、中長期的にはドル売り」と述べた。

米国LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)3か月物、フォワードディスカウントレート、通貨スワップなどを挙げ、「ドルは余剰。時間が経つとドルは売られやすく弱い」と見込んでいる。

同氏は、5月中の日経平均株価は1万8500円〜2万円程度、ドル・円相場は105円〜110円程度のレンジを見込んでいる。

今週の欧米中銀は現状維持を予想

28、29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)と30 日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会については、現状維持を予想する。宇野氏は、「今回は何もないと思う。すでに突っ込んだ緩和策を行っている」と述べた。

同氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)について、「金利上昇やドル買いを抑える緩和策を実施。社債買い入れ条件を緩和し、ジャンク債購入などでバランスシートを拡大した。トランプ政権は経済対策を打ち出している。一方、国債買い入れは150億ドルから100億ドルに下げ、バランスシート拡大が一気に進まないよう微調整。金融政策というより日々の金融調節という印象。今回は何もないと思う」と説明した。

また、「ECBも格落ちした債券を支える政策を行っており、今回は特段やることはないと思う。企業業績が悪化し、債務に関心が向かえば、さらに踏み込んだことをやらなければならなくなるが、現時点ではやることをやった状況」と語った。