前日の米国株が上昇した流れを引き継ぎ、8日の日経平均株価は大幅続伸。前日比504円32銭高の2万179円09銭で引けた。
市場関係者によると、来週は米国株の上値が重くなり、日経平均株価は2万円を挟んだもみ合いが見込まれている。主要企業決算や経済指標の発表を控え、米連邦準備制度理事会(FRB)によるマイナス金利政策への思惑が強まっており、景気の先行き不透明感が強いことが重しという。
日経平均は1万9448円〜2万365円のレンジ予想
SMBC信託銀行の佐溝将司マーケットアナリストは8日、ZUU onlineとの電話インタビューで、来週の見通しについて、「米国株は現行水準から上は上値が重くなり、一段の上昇は見込みづらい。日本株も上昇の原動力を失い、上値が重くなりそう。目先は2万円を挟んでもみあいが続く見通し」と述べた。来週の日経平均株価の上値めどは4月30日高値(2万365円89銭)、下値めどは7日安値(1万9448円93銭)とし、1万9500円近辺での底固さは変わらないとの見方を示した。
同氏は、「米国株上昇を好感する形で日本株も上昇した」としながらも、「米国株は新型肺炎コロナウイルス前の水準に戻した。ナスダック総合指数は年初来でプラスに浮上。ダウ平均株価やS&P500種も昨年10月ごろの水準へほぼ戻している」と説明した。
その上で、「米財政・金融政策の総動員で根拠がない訳ではないが、さらに一段と上昇するのは難しいだろう。経済活動を一部再開してコロナ感染が再拡大するリスクも拭えない。米国債市場ではFRBのマイナス金利政策を織り込む動きもみられ、景気回復に慎重な見方」と語った。
米金利先物市場はマイナス金利政策導入織り込み
米経済指標に関して、佐溝氏は、「雇用統計は大幅な悪化が織り込まれており、大きく反応することはないと思う。消費者物価(CPI)や卸売物価(PPI)もそれほど反応はないと思う。実体経済を映す小売売上高や鉱工業生産の方に注目している」と述べた。
米金融政策に対しては、「マイナス金利政策の導入には副作用があり、議論の段階で、まだ市場の大勢予想ではない。ただフェデラルファンド(FF)金利先物市場では年末ごろのマイナス金利政策導入を織り込み始めており、景気への警戒感が強い。株は楽観ムードが強いが、債券市場は慎重姿勢」と述べた。
さらに12日のトヨタ自動車、13日のソニーなどの企業決算発表を控えているほか、14日に欧米に追随する形で安倍晋三首相が緊急事態宣言の解除判断基準を示すことへの期待感などを挙げ、「日本株は一喜一憂する展開だろう」と述べた。