前日の米ダウ平均株価が反落した地合いを引き継ぎ、12日の日経平均株価も小反落し前日比24円18銭安の2万0366円48銭で引けた。ドル・円相場は1ドル=107円台半ばで推移している。
日米株価やドル・円相場は、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大ペースが鈍化し始め、欧米の一部で経済活動が再開されたことが支えとなる半面、感染の再拡大警戒や企業決算への懸念から上値が重い展開となった。市場関係者によると、ドル・円相場は4月7日の緊急事態宣言前の108―109円台、日経平均株価は3月に開けた窓を埋めるかが、戻りを試す上での焦点という。
経済活動再開VS新型コロナ再拡大警戒
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは12日、ZUU onlineとの電話インタビューで、市場動向について、「新型コロナ感染が再び拡大しなければ、ドル・円は年初に110円より上だったので、緊急事態宣言が出る前の108―109円台までの戻りはありそう。日経平均株価は、窓を開けて落ちた水準まで戻れるか。3月下旬の年初来安値に向けた手前で、窓を開けて下げる前の3月6日安値(2万613円91銭)を埋めることができるかが焦点」と分析した。
同氏は、「4月の米雇用統計など経済指標は悪い数字だが、悲観的になることなく、先行きへの期待から上向きで通過。悪い話より、経済活動の正常化への期待の方が大きい。欧米では4―6月期に大幅マイナス成長予想だが、7―9月期はプラス成長になる見通し。日本も、来週から13の特定都道府県以外は解除が一段と進みそう。7―9月期は悪くはならないとの仮定で動いている」と説明した。
一方で、「感染者数の伸びは減速しているが、気の緩みから再び増えることへの警戒感がある。不要不急の外出や大規模イベントを行っても良い訳ではない。段階的な自粛解除で、景気のV字回復にはならないと思う。韓国などでは感染者が再び増えており、南半球や新興国の感染者が増えると問題になるだろう。戻りは鈍いとの認識になると思う」とも述べた。
リスク回避の円買いにはなっていない
岩下氏は、「ドル・円は海外時間にドル高になった。リスク回避の円買いにはなっておらず、安心感が出ている。先週は米国株が戻したため日本株も戻したが、昨日の米国株が下げ、きょうは日本株も下げた」と説明した。
さらに主要企業の決算発表を挙げ、「自動車、航空、宿泊などは今も良くない状況で、景気が良くなっている訳ではない。株の上値は重い」と語り、日経平均株価が窓を埋めて2万800円近辺まで戻せるか慎重な見方を示した。