前日の米国株高の流れを引き継ぎ、15日の日経平均株価は4営業日ぶりに反発。前日比122円69銭高の2万37円47銭と2万円台を回復して引けた。ドル・円相場は1ドル=107円台半ばで推移している。

市場関係者によると、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大を巡る、米中関係悪化への警戒感を背景に、日経平均株価は上値追いには慎重という。ドル・円相場は当面、大きく動きづらいとの声も聞かれた。

日経平均は戻り高値2万534円88銭を抜けるかが焦点

しんきんアセットマネジメント投信の加藤純チーフマーケットアナリストは15日、ZUU onlineとの電話インタビューで、「過剰流動性供給とコロナ禍収束期待が株の支えとなっているものの、米中対立が懸念材料となり、株は上値追いにはならないと思う。11日の戻り高値2万534円88銭を抜けるかが焦点。以前は株が上昇すれば、リスクオン(選好)のドル・円上昇になったが、今はドルも円も同じ動き。株が上昇してもドル・円は動きづらい」と説明。来週の日経平均は1万9000円〜2万500円、ドル・円は105円50銭〜108円50銭のレンジを見込んでいる。

トランプ大統領は14日に放送されたFOXビジネスネットワークのインタビューで、中国の習近平国家主席と話したかと問われ、「習主席と関係は良好だが、今は話したくない」と発言。中国への対応について「全ての関係を断つこともできる」と述べた。

加藤氏は、「米中対立が軽傷ですみ、米国株が持ち直してくれば、日経平均株価も持ち直すだろうが、大きく上昇するのは難しいだろう。前日の米国株が上昇し、きょうの日本株も上昇したが、米中が不穏な状況でドルも円も買われている」と説明した。

一方で、「トランプ米政権は、大統領選挙を控えて大事な1年が中国のせいでぶち壊しになっていることに怒っている。米議会が、少数民族に対する人権侵害でウイグル人権法案を可決した。貿易紛争に飛び火しつつあり、中国が部分合意した米国からの輸入拡大を履行せず、米中対立が悪化すれば、株は下値を試す可能性が高い」とも述べた。

米上院本会議は14日、中国新疆ウイグル自治区でイスラム教徒の少数民族ウイグル族らを弾圧する中国当局者に制裁を科す「ウイグル人権法案」を全会一致で可決した。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長発言や日本の国内総生産(GDP)の影響は限定的か

また同氏は、「来週のパウエルFRB議長発言でも、市場で期待されているマイナス金利政策を否定すると思う。ただ市場の材料にはならないだろう。日欧のマイナス金利は効果が上がっていないと疑問を呈しており、FRBはマイナス金利政策に突っ込まないと思う。無制限に資産を買い入れ資金供給する方向か。日本のGDPも過去の数字。悪いことを再確認するが、織り込み済で影響はないだろう」と予想している。

中長期的なドル・円相場については、「米インフレ率は低下し、米長期金利は0.62%近辺で上がりようがない。中長期的にはドル安・円高が緩やかに進む見通し。今年中に105円を割れ、102〜104円を目指すドル安傾向」と見込んでいる。

市場では、18日に発表される日本の1ー3月期GDP速報値は前期比1.2%減少、年率4.6%減少が見込まれている。