エフピコ <7947> をご存知だろうか? 広島県に本社を置く食品容器の製造・販売等を手がける企業だ。スーパーマーケットの精肉や魚、野菜などをのせた食品トレー、コンビニエンスストアの弁当や惣菜などの容器の製造で30%のシェアを握る業界最大手である。
そのエフピコが株式市場で耳目を集めている。後段で詳述するように、エフピコは2020年3月期決算で営業利益が過去最高を記録、5月8日には株価も上場来高値を更新する場面が観測されている。新型コロナ危機で食品スーパー等の売上増加に加え、飲食店のテイクアウトやデリバリー需要の拡大、さらにはESG(環境・社会・企業統治)およびSDGs(持続可能な開発目標)の側面から評価する動きもあるようだ。
今回は食品容器大手エフピコの最新動向を紹介しよう。
なぜ、エフピコの営業利益率は高いのか?
エフピコは業界のリーディングカンパニーとして、食品容器市場を開拓しながら成長の道を歩んできた。1981年には業界で初めてカラートレーを製品化したほか、1990年代以降は蓋付きトレーやオリジナルの麺・丼ものトレーなどコンビニの中食向けの市場を開拓、さらに2011年には日本初の食品用PET再生工場を稼働している。最近では新型コロナ禍で衛生面でも安心・安全な蓋付き容器、デリバリー向けの容器等の需要が増加しているほか、将来的には冷凍食品、病院、介護食向け容器の拡大も見込まれている。
たとえば、昔のプラスチックトレーは電子レンジで加熱できなかったのをご存知だろうか? 電子レンジで温めることが可能な耐熱性の高い容器を開発したのはエフピコである。また、液漏れの少ないお弁当の容器を開発したのも、ラーメンの具と麺を分け保温性をキープする容器を開発したのもエフピコである。エフピコの容器があったからこそ、コンビニの中食は今日の繁栄を遂げることができたといっても過言ではない。
スーパーマーケットの食品トレーについても単なる容器にとどまらず、安全面に優れ、盛り付けや見た目を演出しやすい蓋付き容器や、積み重ねが容易な容器など付加価値の高い製品への改良を重ねている。時代の変化とニーズに寄り添ったエフピコの取り組みだ。
ちなみに、エフピコの2020年3月期の営業利益率は8.3%で、同業の中央化学 <7895> の2.3%を大きく上回っている。エフピコの営業利益率が比較的高い背景には、先に述べた高付加価値のオリジナル開発製品比率が60%に達し、リサイクルにも積極的な点を挙げることができる。