2019年末の開局以来、無料視聴会員が増加し、最近では毎月1万人以上が加入しているというメディアプラットフォームF@nTV。番組制作にクラウドファンディングの仕組みなどを導入し、従来の地上波にない取り組みが話題を集めている。今回はF@nTVの片岡寛之社長に創業への思いや、今後のビジョンを語ってもらった。

「変化しないメディア」に感じた不満

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(画像=F@nTVの片岡寛之社長)

私は元々「広告を出す側」としてメディアに携わっていました。以前、千葉県の地域新聞に自社の広告を出していたのですが、読者層が60~80代なのに、30代のママ友向けのコーナーがあるなど内容にチグハグ感を感じていました。

しかも、そうしたコーナーをはじめた結果、私の会社が出している広告の反響も下がってしまったのです。そのため新聞社の役員に「この新聞は60~80代のための媒体であって、30代のための情報はいらない。30代の人はスマホで情報を得る。そういった情報を紙媒体で取り上げるのはナンセンスでは?」と提言しました。

当時は紙媒体自体が大変革の時期で、WebやSNS、動画にメディアが移り変わっていく過渡期にありました。そういう時代の変わり目の中で、メディアの広告のビジネスはギャンブルだと思ったのです。

なぜなら、お客さんの方が情報や知識を持っている場合が多いからです。私はもともと不動産業界で働いていましたが、昔は折り込みチラシの中に物件情報を入れていると、それを見たお客さんが店舗に来て、プロの意見を聞いて購入を決めるという流れでした。しかし、今ではネットや書籍に多くの情報があり、お客さんの方がプロよりも詳しい場合もあります。そうした状況になれば、お客さんたち自身が「いい」と思ったものを買うんです。

そういったことを前述の地域新聞含めいろいろな媒体に話してきました。にもかかわらず、メディアが変化することはありませんでした。それなら自分でメディアを立ち上げようと思い、自分でメディアを始めたんです。「自分だったらこうするのにな」という考えを実現させてみようと。

視聴者のニッチなニーズをマッチングさせる

最初に着手したのが、前述のような地域新聞でした。どこの地域でも、行ったことのない近所のそば屋、普通に通ると危ないカーブの道など、近所の人にしか価値がないネタがあると思います。ネットに上がるようなものではありませんが、どこかに情報として出ていてほしいネタ。それを地域新聞で扱えば、コミュニティ作りとしても価値が出ると思ったんです。

ただし、地域コミュニティ誌は「稼げない」という前提があります。それは参入前からわかっていました。そこで私が目指したのは、「ナンバーワン」の肩書きです。それさえあれば次のステップに進めると考えました。

どの分野で「ナンバーワン」になれるか、いろいろと調べた結果、発行部数でした。「ナンバーワン」の肩書きがあれば、タレント事務所などでも話を聞いてくれるようになるんです。実際に媒体を立ち上げて、地域の中で発行部数ナンバーワンになるまで、1年半ほどかかりました。

そして、その段階で、次のステップに移行しました。それが動画配信です。まずはコミュニティ誌と同じ高齢者向けの番組を作ったのですが、1話あたり15万~20万再生くらいの反響があり、かなりの数字が取れたと思います。こうした経験を通して、ニーズのあるところにきちんと届ければ、視聴者も作り手もスポンサーにもメリットがあるのではないかと考えました。こうした過程でできたのが、「F@n TV」の事業計画です。

この計画を知り合いの放送作家やディレクターに話したら、「おもしろい」と喜んでもらえて、その方々がまた別の仲間に話をして広がっていき、1ヵ月後に約100人スタッフが集まりました。そのスタッフが実は、みんながWikipediaに載っているような有名な方々だったんです。これで番組の企画力は間違いないものになったし、動画制作のノウハウも積み上がりました。「これはいける」と思って、それから半年くらいかけて開局までもっていきました。

世界展開で相互理解にも貢献していきたい

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(画像=番組制作時の様子)

F@nTVではゆくゆく、日本で作った日本語の番組を、アフリカなどの遠く離れた地域で親しまれるようにしたいです。クラウドファンディング募集ページにも書いている「海外展開」です。

アフリカでは、今スマートフォンが流行り始めています。日本語の番組に現地語の字幕をつけて見てもらったり、逆にアフリカで作った番組を日本で見たりするような状況が生まれるのが理想ですね。

アフリカの番組をつくろうとしても地上波であれば、例えばストリートチルドレンがいるエリアであっても映さないようにするとか、なんらかの忖度が出てきます。でもそれは現地の人たちにとっては日常だから、隠す必要はまったくない。ネットTVなら忖度なく発信ができると思います。

そういった外国の現状を知るのは、教育にとってもいいはずです。私は子どものころに初めて外国人に話しかけられたときは、怖くて逃げてしまいました。でもそれは仕方ない話で、人は初めて会った人や知らないモノに拒絶反応を示してしまうんです。でも、外国には日本とはまったく違う人がいて、まったく違う風習があることを知れば、もしかしたら私の子どものころのような拒絶はなくなるかもしれません。そういった変化も期待しています。

今までにないネットテレビを作るという夢

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(クラウドファンディングを通じて視聴者もF@nTVの番組制作に参加することができる)

F@nTVに多くの放送作家の方々が協力してくれたのは、彼らが企画勝負をしたいからだと思っています。彼らは自分たちが本当に作りたいものを作りたい。だからF@nTVに賛同してくれました。

現在、F@nTVでは、ある劇団のオリジナルドラマをコンテンツとして配信しています。劇団はいま、新型コロナウイルスの影響で、お客さんを集めた舞台ができません。その状況の中で、仕事があること、何より演技ができることを喜んでもらえました。

劇団員にとって、テレビドラマに出演することは大きな夢だといいます。それがネット番組だとしても、テレビに近づく第一歩だと。ネット番組なら、全国放送ほどの影響力はないかもしれませんが、特定の劇場に行かなければ見られなかった俳優さんを全国に届けることはできます。

そうすれば、遠方に住んでいる劇団員の親戚にその姿を見せられるかもしれませんし、ビジネスで考えればそういった方々からチケット代がわりに出資を募ることもできるかもしれません。そのファンが徐々に広がっていけば、「劇団・ドラマチャンネル」として成立し、年に2回しかできなかった舞台演劇を、ネットドラマとしてずっと配信できます。そこまで大きくできれば、劇団員の方々へのお支払いも大きくできます。

実はテレビ局は「放送法」で縛られていて、個人から出資を受けることはできないんですよね。クラウドファンディング自体はできますが、個人から集めたお金を番組の制作費にあてることは禁止されています。それに対してF@nTVは、企業にも個人にもスポンサーになってもらうことができます。

F@nTVで実現したい夢と、それを実現させるための現実的な方法は、すでに整いつつあります。既存のテレビ番組に満足していない方、YouTubeでも良いコンテンツに巡り合えない方は、ぜひ我々と一緒に今までにないネットテレビを作ってくという「夢」を買ってほしいと思っています。

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