値動きの幅が大きいとされる株式投資では、利益の目標を設定し、確実に儲けを積み上げていくことが重要です。そのためには、平均的な利益や利回りの計算方法をあらかじめ確認しておく必要があります。実現可能な投資プランを立てることで、株式投資による資産形成を成功させましょう。

目次

  1. 株で得られる3つの儲け「売却益」「配当金」「株主優待」
  2. 株で得られる儲けはどのくらい?利益の種類別に確認しよう
  3. 株式投資で重要なのは「儲けの目標」を設定すること
  4. 儲けを増やすならコスト管理も重要。投資コストを抑える方法は?
  5. まとめ:配当金の平均利回りは約2%。利益目標を決めてブレのない株式投資を!

株で得られる3つの儲け「売却益」「配当金」「株主優待」

(画像=taka/stock.adobe.com)

株式投資とは、企業が資金調達のために発行する「株式」を購入し、出資者として利益の獲得を目指すものです。株式投資で得られる利益には、「売却益」「配当金」「株主優待」があります。3つの利益にはどのような特徴があるのでしょうか。利益の目指し方と併せて、確認しましょう。

安く買って高く売ることで得られる「売却益」

購入した価格よりも高い株価で売却したときに得られる差益が「売却益」です。たとえば、100万円で購入した銘柄を120万円で売却した場合、売却益は20万円となります。

売却益を目指すなら、株価の値上がりが期待できる銘柄選びが大切です。値上がりが期待できる銘柄には、好調な業績が株価に反映されていない「割安株」や、好調な業績を上げ続けている「成長株」などがあります。

割安株や成長株などを選定するには、決算書や業績の分析が必要です。また、売買のタイミングを逃さない取引も大切になります。おもに売却益を狙った投資は、多少の投資経験を積み知識を得てから挑戦してみてもよいでしょう。

企業活動で得た利益から還元される「配当金」

企業が経済活動から得た利益の一部を、出資者である株主に還元するものが「配当金」です。配当金が支払われる頻度は、企業により決められています。配当金額は業績により変動するため、一概にはいえません。過去の配当実績を知りたいときには、各企業のIR情報を確認しましょう。

配当金を受け取るには、権利確定日に株主名簿に名前が記載されている必要があります。そのためには、権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに、株式を購入していなければなりません。

企業独自の割引サービスや商品の贈呈を受けられる「株主優待」

株主優待とは、一定以上の株式を保有している株主に対して、配当金以外の商品やサービスなどを進呈する日本企業独特の制度です。企業が提供している製品やサービスはもちろん、試食会や工場見学の招待券や、お米券・クオカードといった金券などが贈られる場合もあります。

株主優待は、保有株数や保有年数により優待内容に差がでることがあります。優待を楽しみたいと考えているなら、投資前に詳細を確認するとよいでしょう。なお、株主優待の受け取りも配当金と同じく、権利確定日に株主名簿に名前が記載されている必要があります。

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株で得られる儲けはどのくらい?利益の種類別に確認しよう

株式投資で狙える3つの利益では、どのくらいの儲けが見込めるのでしょうか。種類別に、一般的に期待される利益について紹介します。

売却益:銘柄による差が大きい

株式投資でどのくらいの売却益がでるかは、銘柄次第であるといわざるを得ません。それは、銘柄によって値動きの幅に大きな差があるからです。一般的に、値動きが大きい銘柄はリスクが高い反面、得られるリターンも大きくなります。一方、値動きが小さい銘柄はリスクを低く抑えられるぶん、期待できるリターンも小さくなります。

値動きの幅が小さい銘柄を選ぶなら、安定的な業績をだし続けている大企業などが選択肢になるでしょう。また、取引量が多く多額の資金が流入する東証一部の銘柄も、比較的値動きの幅が小さいといわれます。

値動きが大きい銘柄への投資を希望するなら、マザーズやジャスダックといった新興市場が選択肢となるでしょう。そのほか、IPO株(新規上場株)も値動きが大きい銘柄です。リスクをとってでも3倍・4倍といった大きな値上がりにチャレンジしたい人は、IPO株も検討してみましょう。

配当金:東証一部上場銘柄の平均利回りは2.23%

日本取引所グループが発表した統計資料によると、東証一部上場銘柄の平均配当利回りは約2.23%です。また、東証二部上場銘柄は、1.68%となっています。これは、都市銀行定期預金金利が0.002%であることを考えると、高いインカムゲインが期待できる数値だといえるでしょう。

株主優待:銘柄により異なる。優待内容によっては現金換算して考える

株主優待の内容は企業によって大きな差があるため、平均的なリターンは明確にはわかりません。普段の生活でよく使う製品やサービスが贈られる企業を選ぶことで、優待を投資の楽しみとして考えるのも1つです。その場合にももちろん、優待を利用することで間接的に生活費が補てんできるなど、資産形成への効果は期待できます。

株主優待の利回りを知りたい場合には、以下の式で求めます。

株主優待の利回り(%)=1年間で受け取った株主優待の価値÷投資金額×100

1年間で受け取った株主優待の価値は、金額換算したものを用います。金額がわからない場合には、同様の製品や同程度のサービスなどの価格を参考にしましょう。

株式投資で重要なのは「儲けの目標」を設定すること

株式投資を成功させるために重要なのは、「儲けの目標」を設定することです。株式は、日々価格が変動する金融商品です。そのため、最安値で購入した株式を最高値で売却することによる“最大の利益”を得ることは不可能です。また、配当金や株主優待などのインカムゲインも業績により金額や内容が決定されるため、一定の利回りで受け取り続けられるわけではありません。

このように、市場の状況や業績により利益が変動する株式投資では、大きな利益にこだわらず儲けの目標を定めて、その都度利益確定をしていくことが肝心なのです。

どのくらい儲けたかは「利回り」で把握

儲けの目標を設定するには、利益の指標となる利回りの計算方法を知っておく必要があります。ここでは、配当利回りと総合利回りをみていきましょう。

・利回り1:配当利回り

配当利回りとは、株価に対し1年間でどのくらいの配当がだされたかを示すものです。配当利回りは、以下の式で計算します。

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷株価×100

すでに保有している株式であれば、年間配当金額を購入時の株価で割ることで利回りがわかります。購入を検討している銘柄の利回りを知るには、年間配当金額を現在の株価で割って計算しましょう。たとえば、1株1万円の銘柄で年間200円の配当金を受け取ったとすると、配当利回り(税引前)は2%(200円÷1万円×100)となります。

先述のとおり、東証一部上場銘柄の平均配当利回りは2.23%です。そのため、配当利回りが3%を超える銘柄は、高配当銘柄といわれます。配当利回りの目標を設定するなら、3%程度で設定してみましょう。

・利回り2:総合利回り

総合利回りとは、配当金だけでなく株主優待や売却益などを含めた総合収益で計算する利回りです。総合利回りの計算式は、以下のとおりです。

総合利回り(%)=(配当金+株主優待の価値+売却損益)÷所有年数÷投資額×100

配当利回りとの違いは、総合的な運用成績を確認できる点です。たとえば、100万円で購入した株から配当金を8万円受け取り、3年後に110万円で売却したとします。この場合の総合利回りは6%((8万+10万)÷3÷100万×100)になります。

総合利回りの目標は、配当利回りだけでなく株主優待や譲渡益が含まれることを考慮し、5~10%ほどに設定してみましょう。

株式投資のポイントは目標達成時の売買判断

株式投資のポイントは、配当金と株主優待・売却益の3つに目を配る必要がある点です。そのため、3つそれぞれの利益目標および総合的な利回り目標をたて、売買判断の指標とすることが重要となります。
仮に、配当金や株主優待の受け取りをまったく考えない短期売買を目指すなら、値動きだけを注視していてもよいでしょう。しかし、長期で配当金や株主優待を積み上げていく投資スタイルの場合には、株価の値動きも無視できません。なぜなら、株価の値動きによる売却損益は総合利回りに影響するからです。インカムゲインを狙っていく長期投資の場合には、目標利益の達成時や許容を超えた含み損の発生時に、しっかりと売却判断をしていくことが特に重要となるでしょう。

儲けを増やすならコスト管理も重要。投資コストを抑える方法は?

株式投資でより多くの利益を上げるなら、儲けを積み上げるだけでなくコストを抑えることも大切です。投資においては、「手数料」と「税金」がコストとなります。最後に、手数料および税金を抑えられる投資方法を2つ紹介します。

コストを抑える方法1:ネット証券を利用する

手数料を低く抑えた投資をするなら、ネット証券の利用を検討しましょう。ネット証券は、店舗型の証券会社とは異なり、店舗や窓口を持ちません。人件費や店舗維持費を抑えられるぶん、取引手数料を安く設定できるのです。一例として、ネット証券大手のSBI証券および楽天証券の国内現物株取引手数料を、表1に紹介します。

▽表1.SBI証券および楽天証券における国内現物株取引手数料

  楽天証券 SBI証券
いちにち定額コース(※2) 超割コース(※1) スタンダードプラン(※1) アクティブプラン(※2)
5万円まで 0円 50円 0円
10万円まで 90円
20万円まで 105円
50万円まで 250円
100万円まで 487円
150万円まで 200万円まで2,000円
300万円まで3,000円
以降、100万円増えるごとに1,000円追加
582円 200万円まで1,162円。以降は100万円増加ごとに400円ずつ増加
3,000万円まで 921円
3,000万円超 973円

※1:1回の約定代金額に対し手数料がかかる

※2:1日の合計約定代金に対し手数料がかかる

1日の約定合計金額が100万円以下なら、定額のコースであれば手数料がかかりません。1日の取引回数が多い場合も、定額コースのほうがお得な場合があります。それほど頻繁に取引をしない人は、約定ごとのプランの方が手数料を安く抑えられるケースもあるでしょう。このように、複数の手数料コースが用意されている場合には、投資スタイルや投資金額などによって有利なプランを選ぶことができます。

手数料の安さのほか、利便性が高い点もネット証券の特徴です。ネット証券では、パソコンやスマートフォンなどを活用することで、インターネット上で取引が完結します。また、証券会社ごとに設定された注文時間内であれば、夜間や早朝などの発注も受け付けています。日中株取引をする時間がない人や近くに証券会社がない人でも、ネット証券の活用によりスムーズな株式投資を実現できるでしょう。

コストを抑える方法2:NISA制度を活用する

投資にかかる税金を抑えたいなら、NISA制度の利用が効果的です。NISAとは、投資から得た利益(売却益や配当金など)にかかる20%(2037年までは復興特別所得税がかかるため20.315%)の税金が、一定期間一定額まで非課税となる制度です。NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類あります。それぞれの特徴を、表2で確認しましょう。

▽表2.各NISA口座の概要

  一般NISA つみたてNISA ジュニアNISA
利用できる人 日本在住の20歳以上の人 日本在住の0~19歳の人
非課税対象 株や投資信託などへの投資から得られる値上がり益・分配金・配当金 金融庁が認める一定の投資信託・ETFから得られる分配金および値上がり益 株や投資信託などへの投資から得られる値上がり益・分配金・配当金
非課税投資枠
(投資の上限)
新規投資額で毎年120万円 新規投資額で毎年40万円 新規投資額で毎年80万円
非課税期間 最長5年 最長20年 最長5年

表2からわかるように、20歳以上の人が株式投資で利用できるNISA口座は一般NISAのみです。NISAでの株式投資をしたい人は、一般NISA口座を開設しましょう。なお、NISA口座は1人1口座しか開設できません。種類が違う3つの口座の併用も不可です。そのため、開設時にはそれぞれの特徴を確認し、投資スタイルに最も合った口座を選ぶことが肝心です。

まとめ:配当金の平均利回りは約2%。利益目標を決めてブレのない株式投資を!

株式投資は値動きの幅が大きく、ハイリスク・ハイリターンな金融商品といわれます。株式での資産運用を成功させるには、最大の利益を狙うよりも、儲けの目標を設定し確実に利益確定していくことが重要です。配当金の平均利回りは約2%程度です。投資期間や投資スタイルに合わせた利益目標を設定し、計画的でブレのない確実な資産形成を目指しましょう。

文・N.ヤマモト
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている

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