株式投資でキャピタルゲイン(売買差益)を得るには、株価が上がったタイミングで売却し、現金化する必要がありますが、どのような手続きが必要なのでしょうか。一般的な手続き方法のほか、単元未満株や持ち株、NISAなどで売却する場合についても紹介します。


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目次

  1. 株は買うときだけでなく売るときも大事
  2. 株の売却手続き、そのキホン
  3. 売却手続きや手数料が変わるケース
  4. NISA口座での売却
  5. まとめ:株式投資は売るときのことも考えて取り組もう

株は買うときだけでなく売るときも大事

(画像= kinako/stock.adobe.com)

株は、安く買って高く売ればその差額分が利益になります。手放してはじめて、その銘柄への投資が得だったか損だったかが確定するのです。投資で成功するには、銘柄選びだけではなく、売るタイミングの見極めも非常に重要です。株の売却タイミングは、どのように判断すればよいのでしょうか。

値上がり率の設定

株価がぐんぐんと上昇していると、さらなる値上がりを期待してしまい、かえって売りどきを失ってしまいがちです。株価は投資家の需給によって決まるので、利益の確定を考える人が増えてくれば、売り注文が増えて株価は下がります。

最高値を待つのではなく、あらかじめ「〇%上がったら売る」などとルールを決めておいて、そのルールに従って取引することで値崩れのリスクは小さくなります。投資運用では「もっと利益を得たい」という欲や願望が入ってしまうと、適切なタイミング判断が困難になります。

値下がり率の設定

事前に決めたルールに従うことは、株価が上がっているときだけでなく、下がっているときにも有効です。買ったときよりもどんどん株価が下がっていく局面では、含み損が膨らんでいきます。初心者ほど不安にさいなまれ、焦って判断してしまいがちです。

値上がりの根拠もなく下落した株を保有し続けるより、損失が大きくならないよう適切な「損切り」を実行したほうが、損失が小さくなるケースも少なくありません。

株価が下降局面では、さまざまな情報を精査し、株価上昇の見込みを見極める必要があります。ただし情報の分析は難しいため、やはり「〇%下がったら売る」というルールを決めて、感情を挟まずに一律に判断することが、とくに投資キャリアの浅いうちは損失リスクの軽減につながります。

投資経験値が高まれば、チャートで値動きを分析したうえで、それぞれの銘柄ごとにこのパターンが現れたら売る、といったタイミング設定の方法もあります。

いずれにせよ、購入時点で売りどきを見据えた運用計画を練っておくことが理想的です。

お金が必要になったとき

ルール設定以外では、当然ですが「お金が必要になったとき」も売却するタイミングとなりえます。
長年に渡る運用では、家族の病気や進学など想定外のお金がかかることもありますし、職を失う可能性もあります。貯金だけで賄えなければ、金融資産を現金化する必要も出てくるでしょう。

ただ本来は、計画的な出費や緊急時の費用は、運用資産とは分けて確保しておき、完全な余剰分=余裕資金を投資に回すのが、無理のない資産運用のありかたといえます。

お金が必要になるタイミングは、利益が出ているタイミングとは限りません。不本意なタイミングで売却し損失が出ることのないよう、「投資は余裕資金で行う」という鉄則を崩さないようにしましょう。

データや指標に基づいた判断

売買タイミングのルール設定は、感情を挟まずに判断できる点にメリットがありました。感情に左右されないタイミング判断には、データや指標を用いるのも一般的な手法です。一定期間の値動きの平均がわかる「移動平均線」や、現在の株価が割安か割高かを判断する指標であるPER(株価収益率)などが、代表的な指標となっています。根拠に基づいた判断が重要といえます。

また、投資している期間が長ければ長いほど、収益が安定し投資コストも小さくなる傾向があります。短期的な値動きに一喜一憂して売買を繰り返すのではなく、数年あるいは数十年といった長期的なスパンで考え、売却のタイミングを決めることが理想的といえそうです。

株の売却手続き、そのキホン

株を売却するには、その株を保有する口座の証券会社で、所定の手続きが必要です。

手続きの流れ

株式を売却して現金化する手続きは、基本的には以下のような流れとなります。

  1. 証券会社のマイページにログインして保有銘柄一覧を表示させる
  2. 「売り注文」や「現物売」といったボタンをクリックする(表示名は証券会社により多少異なる)
  3. 売却する株数や価格、売却日を設定する
  4. 入力内容を確認し、「注文」をクリック
  5. 注文が成立(約定)したら、保有株一覧や証券会社からのメールなどで確認できる
  6. 売却によって得られたお金が証券口座に入金される
  7. 証券口座に入っているお金を出金する

アプリや専用の取引ツールがあれば、その操作だけで売買が完結することもあります。電話での発注ができる口座もあるので、自分にあった証券口座を選ぶことで利便性が向上します。

現金が手元に入るのはいつごろ?

売却の注文を出してから証券口座に入金されるまで、2~3営業日かかるのが一般的です。証券口座に入金されたお金は、指定した銀行に振り込んでもらうことができます。15時30分までに振込依頼をした場合は翌営業日、それ以降の依頼は翌々営業日に入金とされることが多いようです。

証券会社によっては、専用のカードを使ってATMから引き出せたり、外貨送金が選べたりする場合もあります。

手数料

株式を売却する際は、所定の売却手数料がかかります。手数料は証券会社や取引プラン、発注方法などによって異なりますので、事前に確認しておきましょう。売却代金から手数料等を引いた金額が、実際に口座に入金される金額になります。

ちなみに、証券口座から銀行口座への振込手数料(出金手数料)はかからないケースが一般的です。

売却手続きや手数料が変わるケース

単元未満株

株式売買の最小単位は、通常は100株=1単元です。しかし「ワン株」「S株」「まめ株」などの名称で、1株から取引できるサービスを設けている証券会社もあります。また、株式分割や会社の合併などで、1単元に満たない株式を保有する場合もあります。

1単元に満たない株は「単元未満株」と呼ばれ、通常の株取引とは売却手続きも、売却にかかる手数料も異なる場合がありますので要注意です。

単元未満株の扱いがある証券会社では、手続きが通常取引とほとんど変わらないこともあります。そうしたサービスがない会社では、売買ではなく「買取請求」という手続きを取ることになります。書面でのやりとりが必要になったり、現金化できるまで2週間近くかかったりすることもあります。

自社株

勤め先の企業によっては、福利厚生の一環として自社株を購入できる「持株会」がある場合があります。インサイダー取引になる心配もなく、毎月の給与から天引きで購入できます。

自社株を売却したい場合、持株会の事務局に申し込む必要があり、希望に応じて「一部引出」や「退会」を選択できます。売却代金は持株会が業務を受託している証券会社に移管されるので、事前に口座を開設しておく必要があります。

口座開設はインターネットで手続きできる場合が多いですが、申し込みから開設までは数日かかります。急いでいる場合は早めに手配しておきましょう。

口座開設と持株会への申請が済むと、持株会から証券口座に株式が移管されます。この段階でようやく、通常の取引と同じように売却手続きを取ることができます。自社株は現金化に時間がかかるので、早めの準備が必要です。

NISA口座での売却

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益にかかる税金(通常20.315%)が非課税になる制度です。NISAでは非課税となる投資額(非課税投資枠)が「1年あたり120万円×5年」と決められています。この枠内で購入した株式も、いつでも売却して現金化することができます。ただし、注意すべき点もあります。

売却しても非課税投資枠は変わらない

1年間に与えられる非課税投資枠(120万円)のうち、100万円で購入した株式を売却するとします。その場合、同年中に非課税で投資できるのは20万円になります。売却しても一度使った非課税投資枠が空くわけではありません。

そのため頻繁に売買を繰り返していると、現時点での保有株式は少額でも非課税枠は残っていないということも起こりえます。その場合、新規投資は課税対象となります。NISAを活用した投資では、中長期で保有することを前提にした銘柄を選ぶことで、投資効率が向上します。

損益通算ができない

株式投資で損失が出た場合、他の証券口座などで出た利益と相殺して、課税対象となる所得を小さくすることが認められており、これを「損益通算」といいます。また、同年内の投資収益では相殺しきれない場合は、その後3年間に渡って収益から損失を差し引く「繰越控除」も認められています。

ただしNISA枠内での取引はそもそも非課税なので、損益通算も繰越控除も活用できません。購入時よりも株価が下がったタイミングで売却しても、その損失で所得を小さくし節税することはできないのです。

NISAはメリットの大きい制度ですが、損失は損失でしかないため、銘柄選びや売買のタイミングについては慎重に検討したいところです。

まとめ:株式投資は売るときのことも考えて取り組もう

株式を売却して現金化する手続き自体は、そこまで難しくありません。オンラインで手軽に手続きを済ませられる場合も多いです。ただ、株価は日々刻々と変わるため、そのタイミングの見極めの方が難しいといえるでしょう。

また、単元未満株やNISAなど、通常の株式投資とは違った注意が必要な取引もあります。あとから困らないよう事前に確認し、自分なりの売買ルールを決めておきたいところです。

文・馬場 愛梨
所属・ばばえりFP事務所 代表
関西学院大学商学部卒業後、銀行にてクレジットカードやカードローン、投資信託などの金融商品を扱う窓口営業に従事。 その後、不動産会社や保険代理店での勤務を経て、独立。 お金にまつわる解説記事を数多く執筆。保有資格:AFP、証券外務員一種、秘書検定1級

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