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一般NISAは非課税期間が5年と短いのがネックですがロールオーバーを利用することで非課税期間を最大10年まで延長できます。大きなメリットのあるロールオーバーですが個人投資家の6割以上が「知らなかった」というアンケート結果もあるのです。本記事では重要だけどあまり知られていないロールオーバーについて、わかりやすさ重視で徹底解説します。
ロールオーバーとは?非課税期間を10年に延ばせる制度
はじめにロールオーバーの背景や基本情報について解説していきます。
- 要注意!ロールオーバーを使えるのは一般NISAのみ
- 東京23区の人口を上回る一般NISA口座数がある
- 個人投資家の6割以上がロールオーバーを知らない事実
- ロールオーバーの意味とは?わかるようでわからないという声も
要注意!ロールオーバーを使えるのは一般NISAのみ
NISAには毎年120万円の投資枠が最長5年間非課税になる「一般NISA」と毎年40万円の投資枠が最長20年間非課税になる「つみたてNISA」などがあります。しかしロールオーバーができるのは「一般NISAのみ」です。つみたてNISAではロールオーバーが利用できないことに注意しましょう。ちなみに一般NISAとつみたてNISAを比較したときの特徴は以下の通りです。
目次
※投資可能期間とは、金融商品を購入できる期間です。その後の保有(運用)は期間終了後も可能です。
東京23区の人口を上回る一般NISA口座数がある
ロールオーバーが可能な一般NISA口座の数は、2019年12月末時点で1,176万6,629口座(速報値)です。実に東京23区の人口約968万人(2020年4月1日時点)を大きく上回る数の一般NISA口座が国内にはあります。また一般NISA口座を通して購入している金融資産は約18兆3,830億円(2019年12月末時点)です。一般NISAがいかに人気の制度なのかがうかがえます。
これほど多くの人が一般NISA口座を運用している最大の理由は「株式や投資信託から得られる配当金や分配金、値上がり益に対して一切税金がかからないこと」でしょう。しかし一般NISAには非課税期間が最長5年と短いというウィークポイントもあります。ただ本記事で取り上げるロールオーバーを利用すれば非課税期間が最長10年に延長できるため、一般NISAのウィークポイントが解消されるでしょう。
個人投資家の6割以上がロールオーバーを知らない事実
一般NISAを運用する上でロールオーバーはとても重要なテーマです。一般NISA口座を運用中の人や一般NISA口座の開設を検討している人はロールオーバーの仕組みをしっかり理解することが大切です。そうでないと一般NISAの魅力を十二分に引き出すことができません。しかしNISAの認知度が高い半面NISAのロールオーバーについての個人投資家の認知度はいまいちです。
日本証券協会が2019年1月に発表した「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」によると「ロールオーバーを知っているか」の問いに対し「知らなかった」と回答した割合が66.4%にも及びます。
ロールオーバーの意味とは?わかるようでわからないという声も
ロールオーバーとは、一般NISAの非課税期間の5年間が終了する年末に保有する金融商品を翌年から新しく作る非課税枠に移すことです。なお移管するときの金融商品の価格は年末時点の時価になります。一般的にロールオーバーはこのように解説されることが多いですが「わかるようでよくわからない」という声も少なくありません。
そこでここではロールオーバーをわかりやすく解説していきます。
ロールオーバーによって10年間有効の非課税枠を5個作れる
ロールオーバーについて内容をわかりやすくするため、まずは一般NISAの基本的な仕組みを振り返ってみましょう。一般NISA口座の非課税期間は最長5年間と決まっています。最大投資枠は1年あたり120万円までです(2020年5月時点)。投資枠を利用している金融商品は株価が上がっても下がっても5年間は非課税のまま保有できます。
この「1年あたり120万円まで」という投資枠はその年の年末が締め切りで、翌年からまた新しい120万円の投資枠が作られます。このイメージを実際の一般NISA口座の運用に落とし込んでみましょう。例えば2014年からNISA口座の運用をスタートした場合、120万円までの「非課税枠1」が使えるのは2014年末までになります。(2014年における実際の非課税枠は100万円。2016年から120万円へ改定)また金融商品を非課税のまま保有できるのは5年後の2018年末までです。
しかし翌2019年からロールオーバーを選択すれば新たに5年間有効の「非課税枠1−NEW」を作ることができます。ここに金融商品を移せば古い非課税枠(2014~2018年)と新しい非課税枠(2019~2023年)を合わせて計10年非課税期間が利用できるのです。2つ目の「非課税枠2」は、2015年の1年間120万円までの金融商品を購入でき、その5年後の2019年末まで非課税のまま運用ができます。
同様に翌2020年に「非課税枠 2-NEW」を作ることで計10年間非課税が適用されるといった具合です。これを5回繰り返すと最終的に計5個の10年間有効の非課税枠を作ることができます。これが一般NISAにおけるロールオーバーの仕組みです。
一般NISAにおける非課税期間終了時の3つの選択
ロールオーバーを活用することでもともと「非課税枠120万円+非課税期間5年間」だった一般NISAが「非課税枠120万円+非課税期間10年間」となります。ただし非課税期間が終了する年末に必ずしもロールオーバーを選択しなくても構いません。後ほどで詳しく解説しますがロールオーバーをすると非課税期間が延長されるため一見するとお得に見えます。
しかし状況によってはロールオーバーをしないほうがいいケースもあるため注意が必要です。一般NISAでは非課税期間5年間を終了する時点でロールオーバーを含めて以下の3つの選択ができます。
- 現金化する
- 課税口座での運用
- ロールオーバーする
選択1:現金化する
一般NISAの非課税枠を利用している株式や投資信託などの金融商品を非課税期間5年目の年末までに売却して現金化する選択です。もし5年目の年末までに売却して現金化しなければ翌年の初めからは「課税口座での運用(=税金がかかる)」「ロールオーバーする(=税金がかからない)」といった2択となります。
選択2:課税口座での運用
一般NISA口座の非課税期間が終わったタイミングで保有していた金融商品を税金がかかる通常の口座に移す方法です。ただし非課税期間が終わる12月上旬ごろまでにロールオーバーの手続きを済ませない場合は移管手続きをしなくても自動的に課税口座(特定口座か一般口座)に金融資産が移されます。特定口座を持っていない場合は、同じ課税口座でも一般口座へ移管されるため注意しましょう。
当然ながら課税口座に移した後に発生した配当金や値上がり益などには20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の税金がかかります。
・特定口座と一般口座の違いは?
課税口座には、特定口座と一般口座があります。特定口座とは、金融商品の取引で発生した評価損益や配当金などを金融機関が計算して「特定口座年間取引報告書」を作成、その年度の税額を算出してくれるものです。これにより金融商品の取引に関わる確定申告の手続きをスムーズに行うことができます。 一方、一般口座とは評価損益や配当金などをユーザー自身が計算して申告するものです。
選択3:ロールオーバーする
ロールオーバー(Rollover)とは「乗り換え」という意味です。保有している金融商品を取引最終日までに一度決済し新たにポジションを作ることを指し先物取引などの分野でもよく使われます。しかし一般NISAにおけるロールオーバーの意味は、もともと設定されていた5年間の非課税期間を一般NISA口座に移管してさらに5年間非課税期間を延長するというものです。
これにより計10年間、金融商品から得られるリターンを非課税にすることができます。
ロールオーバーの条件とは 一般NISA口座の選択などが必須
ロールオーバーするには以下の2つの条件があります。
- 一般NISAを選択していること
- 移管先の金融機関が同じであること
ロールオーバーの条件1:一般NISAを選択していること
NISA口座は一般NISAの枠とつみたて NISAの非課税枠を1年ごとに選択できます。仮に2014年スタート2018年末に非課税終了のNISA口座があった場合(翌年からロールオーバーを希望しているのに)その時点でつみたてNISAを選択しているのであれば2019年から一般NISA枠を選択することが必要です。逆に2019年末に一般 NISA枠を選択しているのであればそのまま継続で構いません。
※詳細は後述の「ロールオーバーの手続きのポイントとは」でご確認ください。
ロールオーバーの条件2:移管先の金融機関が同じことが条件
「一般NISA口座を開設していた金融機関とロールオーバー先の金融機関が同じ」ということもロールオーバーの条件の1つです。ロールオーバーのタイミングで金融機関を変更したい場合は事前に手続きを終わらせる必要があります。
ロールオーバーの基本的な仕組みは?値下がりした分を追加投資できる
ロールオーバーをしっかり使いこなすために基本的な仕組みを覚えましょう。
- ロールオーバー時に評価益が発生している場合
- ロールオーバー時に評価損が発生している場合
ロールオーバー時に評価益が発生している場合
1年あたりの一般 NISAの非課税枠は2016年から120万円が上限です。(2014~2015年は上限が100万円)しかし5年間の非課税期間が終了する時点で120万円以上に金融商品が値上がりしている場合は、限度額を超えていてもそのまま新しい非課税枠に移すことができます。例えば5年前に120万円で購入した株式が200万円に値上がりしているならロールオーバーによって200万円の新しい一般NISA口座の非課税枠(5年間有効)を作れるということです。
ただし120万円以上の金融商品をロールオーバーした場合、新しく作った非課税枠での新規買付はできません。
ロールオーバー時に評価損が発生している場合
逆に5年前に120万円で購入した金融商品の評価額がロールオーバー時に70万円に値下がりしていた場合を考えてみましょう。この場合は、一般NISAにおける1年あたりの投資額の上限である120万円と70万円の差額である50万円を新しく作った一般NISA口座で追加投資することができます。もちろん値下がりした70万円のまま新しい非課税枠にロールオーバーすることも可能です。
ロールオーバー選択の目安 「その後、株価が上がるか」が重要
ロールオーバーの基本的な仕組みを踏まえて具体的なケースごとに見ていきましょう。結局どちらのケースでもロールオーバーの選択の成否は「その後の株価が上がるか否か」の1点にかかっています。
- 金融商品が5年間で値上がり!さらに今後上昇する期待
- 金融商品が5年間で値下がり!今後反転する期待
- 値下がりしていてもロールオーバーの選択が正しいとは限らない
金融商品が5年間で値上がり!さらに今後上昇する期待
ロールオーバーを選択したほうがいいと判断できるのは「今後5年間で株価の上昇」が期待できるようなケースです。例えば一般NISAの非課税枠上限の120万円で購入した金融商品が5年後に150万円(30万円増)に値上がりしていたとします。さらにロールオーバー後に200万円に値上がりした場合、10年間でトータル80万円の評価益が非課税になります。
この場合80万円×20.315%=16万2,520円が実際に非課税となった金額です。もしこの値上がりした状況でロールオーバーを選択しなかった場合「10年後価格200万円-5年後価格150万円=評価益50万円」となります。課税口座となるため評価益50万円×20.315%で約10万1,575円の税金を納めることが必要です。結果的に「ロールオーバーを選択したほうがよかった」ということになります。
金融商品が5年間で値下がり!今後反転する期待
5年間の非課税期間で金融商品が購入した価格以下になっている場合でも今後5年間で株価の上昇が期待できるのであればロールオーバーを選択したほうがよいでしょう。例えば非課税枠上限の120万円で購入した株式が5年後に70万円に値下がりしたとします。50万円の含み損が発生し「他の課税口座と損益通算もできない」「損失の繰り越しもできない」という厳しい状態です。
しかしロールオーバーを選択しその後5年間で100万円まで値上がりしたときには、30万円(100万円-70万円)の評価益が非課税になります。この場合はロールオーバーを選択したことが功を奏したといえるでしょう。ロールオーバーを選択しなかった場合は「10年後価格100万円-5年後価格70万円=評価益30万円」に対して20.315%の税金がかかるため約6万945円の納税が必要になります。
つまりNISAをスタートしたときの価格120万円よりも値下がりしているのにも関わらず税金を払わなくてはいけない状態になるわけです。
値下がりしていてもロールオーバーの選択が正しいとは限らない
一般NISAの5年間の非課税期間が終了する年度末時点で購入時より値下がりしていた場合でも必ずしもロールオーバーを選択することが正しいとは限りません。なぜならロールオーバー後にさらに株価が下がった場合は「他の課税口座と損益通算ができない」「損失の繰り越しもできない」という身動きがとれない状態にもなりかねないからです。
ロールオーバーのメリット・デメリットとは
ロールオーバーについてメリット・デメリットの形式で要点を確認してみましょう。
ロールオーバーのメリットとは
- 非課税期間を最長10年まで延長できる
- NISA枠の上限を超えても非課税期間を延ばせる
・非課税期間を最長10年まで延長できる
非課税期間が最長10年に延長できることこそがロールオーバーの一番のメリットです。一般NISA口座は「非課税期間が5年しかない」というウィークポイントがあります。しかしロールオーバーを利用することで5年間をさらに10年間まで延長できるため、ウィークポイントを解消することができるでしょう。
・NISA枠の上限を超えても非課税期間を延ばせる
一般NISAの投資枠は年間あたり120万円(2016年以降)です。非課税期間の5年間を終了する時点で値上がりしていて投資枠を超えていても(例えば150万円など)新たな一般NISA枠にそのまま移管できます。
ロールオーバーのデメリットとは
- 含み損となっている場合は選択肢が狭まる
・含み損となっている場合は選択肢が狭まる
もともとNISA口座はキャピタルゲインやインカムゲインで利益を出したときに「非課税の恩恵を受けられる」というメリットがあります。しかし含み損となっている場合は選択肢が狭まってしまうため注意が必要です。例えばNISA口座は特定口座や一般口座と損益通算ができないため、利益が出ている口座と相殺することもできません。
またNISA口座で損失を確定しても売買損失がないとみなされるため3年間の損失の繰越控除も利用できないのです。配当金がある銘柄の場合、配当金は非課税の恩恵を受けられるものの含み損の金額を考えれば焼け石に水でしょう。ロールオーバーすることで翌年度のNISA枠も使用することになるので非課税枠の無駄遣いにもなりかねません。
このようにせっかくロールオーバーをしても値下がりして含み損を抱えるような状態だと非課税の恩恵がほとんど受けることができないため注意が必要です。
ロールオーバーの手続きのポイントとは
2016年にNISA枠を利用した人は2020年が非課税期間の最終年度となります。ロールオーバーを行う予定の人は手続きについてもしっかり押さえておきたいところです。現時点で一般NISA口座内の金融資産を管理していて同じ金融機関の新しいNISA口座に移管するだけならそれほど手間はかかりません。詳しい手続きの流れを見ていきましょう。
- ロールオーバーをしたいときだけ手続きが必要
- 移管依頼書とは ロールオーバーの意思を示す書類のこと
- つみたてNISA口座を利用中の人は変更手続きが必須
ロールオーバーをしたいときだけ手続きが必要
一般NISAの非課税期間5年間を延長する場合、必ずやらなければいけない手続きがあります。例えば郵送が必要な金融機関の場合「ロールオーバー移管依頼書」の返送と「翌年のNISA口座の勘定を一般NISA(非課税管理勘定)」に設定することです。この手続きを忘れてしまうとロールオーバーを希望していても自動的に課税口座(特定口座または一般口座)に移管されてしまいます。
そうなると対象の金融商品はそれ以降、一般NISA口座では扱えなくなってしまうため注意しましょう。また金融機関によってはロールオーバーの手続きがWeb上でできる場合があります。その場合、郵送する書類は不要でWeb上ですべて手続きを完結することが可能です。
移管依頼書とは ロールオーバーの意思を示す書類のこと
翌年からロールオーバーの対象になる金融商品を所有しているユーザーには金融機関から「ロールオーバー移管依頼書」が9月ごろに送付されてきます。ロールオーバーを希望する場合は、金融機関が指定する日までに「ロールオーバー移管依頼書」を提出することが必要です。手続きは11月下旬~12月上旬など締め切りが早めに設定されていることも多いため期限の確認をしておきましょう。
つみたてNISA口座を利用中の人は変更手続きが必須
ロールオーバーをするには、翌年のNISA口座の勘定が「(一般)NISAであること」が大前提です。つみたてNISAを開設(利用)している場合は「非課税口座異動届出書(勘定変更用)」を請求し金融機関が指定する日までに提出する必要があります。
ロールオーバーに伴い金融機関を変更したいときは
ロールオーバーのタイミングでNISA口座を管理している金融機関を変更することもできます。金融機関を変更する場合は「現在取引している金融機関」「新しく取引を始める金融機関」の両方への手続きが必要です。
- 現在取引している金融機関への手続き
- 新しく取引を始める金融機関への手続き
現在取引している金融機関への手続き
一般NISAまたはつみたてNISAを利用中の金融機関に対し翌年から金融機関を変更したい旨を申し出て、所定の手続きを行いましょう。手続きが完了すると「非課税口座廃止通知書(または勘定廃止通知書)」が交付されます。
新しく取引を始める金融機関への手続き
現在取引している金融機関の手続きでもらった「非課税口座廃止通知書(または勘定廃止通知書)」が必要です。また新しく取引を始める金融機関から送られてくる「非課税口座開設届出書」と本人確認書類などを添えてこれから取引を始める金融機関へ提出します。新しいNISA口座を設定する際には「一般NISA(非課税管理勘定)」を選択することを忘れないでください。
ロールオーバーの対象になっている金融資産の確認方法
NISAは年単位の長いスパンで資産運用をしているため、どのタイミングでどれくらいの金融資産を購入したのか、記憶があいまいになっている人もいるのではないでしょうか。ネット証券であれば NISA口座の専用管理画面などで買い付けた金融商品を年度ごと確認することができます。ロールオーバーの対象になりそうな金融資産を所有していて細かい内容を把握していない人は一度資産状況をチェックしておくと安心です。
ロールオーバー移管依頼書の返送は速やかに行うべき
ロールオーバーは有効に活用できれば節税となるため非常にお得な制度です。しかし保有している銘柄が「含み益なのか」「含み損なのか」によって大きく選択肢が変わってくる可能性があります。ロールオーバーについてしっかりと内容を把握していれば今後どのようにNISA口座の銘柄を保有していくかの道筋も見えてくるかもしれません。
一般NISAにおけるロールオーバーの仕組み自体はシンプルです。一般NISAは非課税期間が最長5年ですがロールオーバーを選択することで非課税期間を最長10年まで延ばすことができます。なおつみたてNISAにはロールオーバーがありません。ロールオーバーを選択するか否かは、所有している金融資産が「その後、5年間でリターンが得られるか」を軸に考えてみましょう。
もし利益が得られるのであれば値上がり益などにかかる約20%の税金が非課税になります。そのため「保有銘柄をどのあたりで売却するか」といった出口戦略も練っておくことが大切です。逆に値下がりしてしまえば損失が出るばかりでなく「他の証券口座との損益通算ができない」「3年間の損失の繰越控除が使えない」といったデメリットがあります。
ロールオーバーの手続きは、金融機関から送られてくる「ロールオーバー移管依頼書」を返送したりWeb上で完結できたりする金融機関などさまざまです。また現在、つみたてNISA口座を利用している場合は、上記の手続きに加えて「非課税口座異動届出書」を取引している金融機関に請求・記入・返送することが必要になります。
さらにロールオーバーのタイミングで金融機関の変更も可能です。ただし「現在取引している金融機関」「これから取引する金融機関」の両方での手続きが必要になるため不備がないように気をつけましょう。いずれにしてもロールオーバーをしたい人は金融機関から「ロールオーバー移管依頼書」が送られてきた時点で速やかに返送することが賢明です。
後で書類を送ろうと思っていてそのまま手続きを忘れてしまえばロールオーバーの選択ができません。「年末まで時間がある」と思っていても金融機関によりロールオーバーの締め切りは異なります。おおむね11月下旬~12月上旬が期限となるため、慌ただしくなる前に方向性は決めておきたいものです。うっかり放置しておくと自動的にNISA口座の銘柄が特定口座や一般口座へ移管されてしまうため、気をつけましょう。