FXを始める際に、まずは少額から取引したいと考える人も多いだろう。少し前までFXの取引単位は1万通貨だったが、最近は1,000通貨から取引できるFX会社も増えてきている。

FXの通貨単位の仕組みや少額取引のメリット・デメリットを解説し、1,000通貨の少額から取引できるFX会社を5社紹介する。

FXの取引単位とは?

FX,少額取引
(画像=PIXTA)

投資では、最低投資金額が定められていることが多い。最低投資金額を満たさなければ、投資を始めることすらできない。最初に、FX投資における取引単位と、最低いくらからFX取引ができるのかをわかりやすく解説する。

●かつては「1万通貨」が一般的だった

もともとFX取引では、1万通貨が最低取引単位として設定されていることが多かった。例えば「1ドル=100円」というレートのとき、最低取引金額は次のように計算される(レバレッジ1倍の場合)。

100円 × 1万通貨単位 = 100万円

最初から100万円を用意しなければならないとなると、初心者にとってはかなりハードルが高いと感じられるだろう。

●最近は少額「1,000通貨」からでも可能に

このような背景から、最近では1,000通貨を最低取引単位とするFX会社も増えてきた。その場合、「1ドル=100円」のときの最低取引金額は次のとおりだ。

100円 × 1,000通貨単位 = 10万円

これなら、初心者にとってもだいぶ始めやすくなるだろう。

FXでは、取引単位を表すのに「Lot(ロット)」を使う。例えば、「1Lot=1万通貨」というFX会社の場合、「0.1Lot=1,000通貨」となる。中には「1Lot=1,000通貨」としているFX会社もある。1Lotの設定はFX会社ごとに異なるため、よく確認しておきたい。

FXの取引単位について正しい認識を持ち、無理のない金額で取引を始めることが大切だ。

1,000通貨単位で取引できるFX会社は?

FX取引を始めるときは、FX会社で口座開設する必要がある。その際に、どのFX会社を選ぶかは重要な問題だろう。

「どこのFX会社も同じでは」と決めつけるのは危険だ。FX会社ごとに特徴があるので、それぞれの特徴を押さえ、自分の目的に合ったFX会社を選ぶようにしたい。続いて、1,000通貨単位で取引できる5つのFX会社を紹介する。少額取引に適しているかという点でそれぞれのFX会社の特徴も解説する。

●SBI FXトレード

最小取引単位は、FX会社の中でも珍しい1通貨から取引可能だ。大手であるSBIグループのFX会社という点で安心感もある。少額取引でFXを始めたいなら、真っ先に検討したいFX会社と言えるだろう。

また、FX初心者に人気の米ドル=日本円のスプレッド(FX取引における実質的な手数料)が、1,000通貨までは0~0.09銭という破格の安さとなっている。他の通貨でも、1,000通貨まではスプレッドが大幅に優遇されている。手数料を抑えてさまざまな通貨で取引し、経験値を積むことが可能だ。

AIチャットによるサービスも行っており、「FX用語がわからない」「経済指標の結果を知りたい」「今の為替レートを聞きたい」といったとき、チャットで気軽にAIに質問できる。

公式YouTubeチャンネルもあり、最近のトレンドや動向がわかりやすく解説されている。

●松井証券MATSUI FX

2021年2月にブランドリニューアルが行われ、最低取引単位が1通貨に引き下げられた。これにより、100円から取引が可能となった。また、夜間も無料で電話相談ができる「MATSUI FX あんしんサポート」を設置するなど、FX初心者向けのサービスに力を入れている。

スプレッドは、米ドル=日本円で0.2銭。通貨単位ごとの優遇は特に行われていない。

2021年5月末までに新規口座開設し、6月末までに取引すると、最大2万円のキャッシュバックを受けられる。ただし、キャッシュバックの金額は取引数量によって決まるため、少額取引からスタートしたいという場合、対象にならない可能性がある。

●LIGHT FX

大手オンライン証券会社のトレイダーズ証券が運営しており、最低取引単位は1,000通貨からとなっている。

株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドのFX会社年間ランキングによると、スワップ部門で2年連続第1位を獲得している。スワップポイントとは、通貨を保有している間、両国の金利差に応じて受け取れる利益のことだ。

スワップポイント狙いで投資する場合、まとまった金額を投じて長期間保有することになる。そのため、少額取引でFXを始める際は、そこまでスワップポイントを重視しなくてもいいだろう。

スプレッドは、米ドル=日本円で0.2銭。通貨単位ごとの優遇は特に行われていない。

マーケット情報が豊富で、世界の通貨の強弱を示すヒートマップなど、さまざまな指標を確認できる。積極的にFX取引を勉強したい人にとって、うれしい情報と言えるだろう。また、月曜午前7時から土曜午前7時までは、24時間電話によるカスタマーサポートが受けられる。

●みんなのFX

LIGHT FXと同じトレイダーズ証券が運営しており、こちらも最低取引単位は1,000通貨からとなっている。

みんなのFXには、登録不要、利用料無料のデモトレードサービスがある。デモトレードでは、実際の取引画面と同じ画面で、FX取引に慣れることが可能だ。失敗しても、自己資金を失う心配はない。

スプレッドは、米ドル=日本円で0.2銭。通貨単位ごとの優遇は特に行われていない。みんなのFXもLIGHT FXと同じく、月曜午前7時から土曜午前7時まで、24時間電話によるカスタマーサポートが受けられる。

みんなのFXには、通常のFX取引だけでなく、機械で自動売買を行うシステムトレードがある。また、為替レートの上下を二択で選択するバイナリーオプションという取引もできる。

FX取引の経験値を積み、システムトレードやバイナリーオプションもしたいと思ったら、みんなのFXでの口座開設を検討してもいいだろう。

●外貨ex byGMO

GMOインターネットグループが運営しており、最低取引単位は1,000通貨からとなっている。グループの強みを生かした万全のインフラ体制が特徴だ。

また、外貨ex byGMOは業界でも最高水準の取引条件と充実した取引環境が魅力である。

スプレッドは、米ドル=日本円が午前9時から翌午前3時までは0.2銭、それ以外の時間帯は4銭だ。通貨単位ごとの優遇は特に行われていない。

FXブログやトレンドレポートも充実しており、クイズ形式で学べる「外貨ex 虎の巻」も人気だ。初心者も無理なくFXの基礎知識を蓄えられる工夫がたくさんある。

1,000通貨単位から取引を行うメリットは?

1,000通貨単位からの少額取引は、特にFX初心者にとってはメリットが大きい。続いて、少額取引のメリットを2つ紹介する。

●ハードルが低い

FX初心者にとって最も大きな壁は、口座開設してFX取引を実際に始めるという最初の一歩だ。最小取引単位が大きければ、より多くの元手を用意する必要があり、それだけハードルが上がる。

その点、1,000通貨単位からの少額取引なら、背伸びせずにFX取引をスタートできる。初心者にとってハードルが低いのが1つ目のメリットだ。

●損失を抑えられる

少額なら損失を抑えて少しずつFX取引の経験値を上げていける。

例えば、100万円を投資して、50%の損失が出たとする。50万円のマイナスが発生した場合、冷静でいられなくなる人も多いだろう。

しかし、10万円投資していた場合、仮に50%の損失が出ても、金額にすれば5万円だ。このぐらいであれば、何が損失につながったかを冷静に分析し、再スタートを切ることもできるだろう。これが2つ目のメリットだ。

投資は元手が大きいとそれだけ損失も大きくなる可能性も高くなる。大きな金額を失ったときの精神的なダメージは想像以上に大きいので、自分自身がどのくらいのマイナスになら耐えられるかを想定し、まずは少額からFX取引をスタートすることが大切だ。

1,000通貨単位から取引を行うデメリットは?

初心者にとってメリットの多い少額取引だが、デメリットもある。それは、損失を抑えられる分、大きなリターンも期待できないという点だ。

先ほどと逆の場合を考えてみよう。100万円を投資して50%の利益が出たら、資産は一気に150万円になる。しかし10万円を投資していた場合、せいぜい15万円だ。元手によって、利益が出た場合の金額のインパクトもまったく違う。

しかし、FX初心者が最初からまとまった金額を投じるのはリスクが高すぎる。最初は少額からスタートし、運用成績がよければ、少しずつ元手を大きくすることが望ましい。

1,000通貨単位より少額でも取引できる?

先ほど紹介したように、SBI FXトレードや松井証券MATSUI FXでは1通貨単位からFX取引が可能だ。

FX会社によっては、デモトレードを用意しているケースもある。デモトレードは、失敗しても実際のお金を失わずにすむのがメリットだ。

一方で、投資の緊張感を保ちにくいというデメリットもある。デモトレードでは、結局「何となく」取引を繰り返してしまいがちだ。操作を学ぶにはいいかもしれないが、投資スキルが磨かれるとは限らない。

その点、1通貨であっても実際のお金を投じてFX取引を始めることで、緊張感をもって取引ができる。

FX取引においては、FX会社の約定力(注文を成立させる力)も重要だ。約定力が低く想定したレートで注文が成立しなければ、期待した利益を得られなかったり、損失を拡大してしまったりすることになる。

デモトレードとは違い、1通貨からであっても実際のFX取引をすることで、FX会社の約定力を確認することもできる。特に短期売買でリターンを狙うなら、約定力はかなり重要だ。約定力を確かめる際にも、1通貨から取引できることはメリットとなるだろう。

少額から始めて徐々にレベルアップを

FX初心者は、まずは少額取引からスタートし、経験値を積みながら元手を増やしていくのが賢いやり方だ。

このとき、元手が大きくなっても、淡々とトレードを続けることがポイントだ。元手が大きくなると、それだけ欲が出て利益確定を先延ばしにしてしまったり、損切できず損失を拡大させてしまったりすることがある。そうすると、望ましい結果を得られなくなるリスクも高くなる。

少額取引から始め、元手を増やしながら勝ちパターンを淡々と継続していくことが、FX取引で成功する近道と言えるだろう。