リースを活用すると、初期費用を抑えて設備を導入できるとともに、支払った料金を経費に計上できるなど多数のメリットを得られます。しかし、レンタルと何が違うのか、注意点はないのかなど、リースの仕組みやデメリットについて気になる事業者の方も少なくありません。

そこで、レンタルとの違いや種類、メリット・デメリットなどについて解説します。併せて、オンラインで手続きが完結する新しいサービスについても見ていきましょう。

目次

  1. リースとは
  2. リースとレンタルの違い
  3. リースの種類
  4. リースのメリット
  5. リースのデメリット
  6. リースか購入で迷ったら?
  7. オンライン完結の新しいリースサービスMileOn(マイルオン)
  8. MileOn(マイルオン)でリースメリットを享受しよう!
  9. 三菱HCキャピタルグループについて

リースとは

リースとは?レンタルとの違いや種類、メリットを解説!新しいサービス紹介も
(画像=Tinnakorn/stock.adobe.com)

リースとは、機械や設備を長期間賃借するサービスのことです。必要な機械や設備がある場合、借主(法人・個人事業主)はメーカーや販売会社から物件を選定し、リース会社(貸主)へ契約を申し込みます。契約締結後、メーカー・販売会社から借主へ直接物件が搬入され、動作確認をして検収したのちに、料金の支払いがスタートするという仕組みです。

物件の所有権は貸主側にあるため、貸主は物件に保険をかけ、設置場所に該当する市区町村に固定資産税を納めます。契約期間中の保険料や固定資産税は契約金額に含まれており、借主はこれら保険料や固定資産税を別途支払う必要はありません。

契約期間は導入する機械・設備の法定耐用年数によって、設定可能な期間の範囲が以下のように定められています。

・法定耐用年数10年未満の物件は、法定耐用年数の70%以上(小数点第1位以下は切り捨て)
・法定耐用年数10年以上の物件は、法定耐用年数の60%以上(小数点第1位以下は切り捨て)

参照:国税庁「№5704 所有権移転外リース取引」

リースとレンタルの違い

どちらも「借りる」を意味する言葉であるリースとレンタルは、違いが分かりにくいという方もいるでしょう。それぞれメリット・デメリットがあるので、両者の違いを理解しておくことが大切です。
ここでは、サービス内容と契約時の流れの違いを見ていきましょう。

サービス内容

サービス内容における違いは以下のとおりです。

リースレンタル
契約期間比較的長期比較的短期
対象物件あらゆる機械・設備汎用性の高い機械・設備
選択できる物件借主が指定した商品レンタル会社の在庫品
物件の所有権貸主貸主
中途解約不可
保守や修繕義務借主貸主
料金設定レンタルより割安リースより割高
契約満了後の選択肢返却または再契約(低料金)返却または期間延長

契約期間

リースは比較的長期の契約が多く、レンタルは比較的短期の契約が多いです。レンタル衣装やレンタルビデオなどが代表的でしょう。リース期間は税務上法定耐用年数の70%以上(パソコンは2年以上)と規定されています。

対象物件

リースは、借主が希望するあらゆる機械・設備が対象になります。対してレンタルは、パソコン、自動車、建設機械など借主が多く汎用性の高い機械・設備に対象が限定されます。したがって、メーカー、モデルなど特定の機種を借りたい場合にはリースを活用することになります。

選択できる物件

リースは借主が指定した物件を貸主が新規に購入する仕組みのため、商品の選択余地が広いという特徴があります。それに対しレンタルは、貸主が保有している商品のなかから賃借する仕組みです。そのため、希望にマッチした商品が必ずあるとは限りません。

物件の所有権

物件の所有権はリース、レンタルともに原則として貸主側にあります。ただし、後述するように、ファイナンスリースには2種類の契約方式があり、契約の種類によっては契約期間中または契約期間終了後に、借主に所有権が移転する場合があります。

中途解約

リースは貸主が購入した物件費用の全額回収を予定しているため、基本的に中途解約ができません。ただし、契約金額の残額相当の違約金を支払うことで解約できる場合があります。一方のレンタルは中途解約が可能です。

保守や修繕義務

リースは保守や修繕義務が借主にあります。そのため、借主は必要に応じて売主または保守会社等と物件の保守契約を締結する必要があります。一方でレンタルは貸主が保守・修繕義務を負うので、借主による保守契約は不要となります。

料金設定

リースの月額料金は「物件価格×料率」にて設定されており、レンタル料金より割安といわれています。対するレンタルは一定額の料金設定になっています。短期間だけ使うならレンタル、長期間使う見込みがあればリースと使い分けるのも有効です。

契約満了時の選択肢

リースの場合、契約期間満了時に商品を返却または1年更新の再契約を結びます。レンタルは商品を返却するか、期間を延長するかを選択できます。

契約時の流れ

契約時の流れにも以下のような違いがあります。

リースの場合

物件選定から物件代金支払いまでは以下のような流れになります。

1. 物件を選定する。
2. リースを申し込み、契約を締結する。
3. 貸主が物件の売主と売買契約を締結して発注する。
4. 物件が借主の指定場所に搬入され、借主が動作確認を実施し、リースが開始される。
5. 借主から貸主へ料金を支払う。
6. 貸主が売主に物件代金を支払う。

レンタルの場合

以下のように、物件の選定から搬入までリースの半分程度の工程でシンプルな流れになっています。

1. 貸主が所有する在庫商品からレンタルしたい物件を選定する。
2. 貸主とレンタル契約を締結する。
3. 借主から貸主へ料金を支払う。
4. 選定した物件が借り手の指定場所に搬入される。

リースの種類

リースには、大きく分けて次の2種類の契約方式があります。

・ファイナンスリース(FL)
・オペレーティングリース(OL)

多くの場合、FL契約となるのが一般的ですが、両者の違いを確認しておきましょう。

ファイナンスリース(FL)

FLは、名前のとおりファイナンス(金融)の要素が強い契約方式です。機械や設備などの購入代金や諸経費を貸主が立て替えて支払い、借主が契約期間に応じて料金を支払います。借主が支払う料金の総額は、設備等の購入代金、資金コスト、固定資産税、保険料などを合計した金額となります。

FLの特徴は、ノンキャンセラブル(契約期間の途中で解約できない規定)とフルペイアウト(貸主が契約に要した資金のほぼ全額を借主が支払う規定)です。

取引に関する会計基準の適用指針では、現在価値基準と経済的耐用年数基準が定められており、以下の条件に該当する契約がFLとして認められます。

・リース料を合計した金額の現在における価値が、物件購入金額の90%以上あること
・解約不能の契約期間が、物件の耐用年数の75%以上あること

参照:公益社団法人リース事業協会

契約期間終了後の所有権移転は、「所有権移転FL」と「所有権移転外FL」の2つに分かれます。前者は、物件の所有権が借主に移転することが定められている契約方式です。後者は、契約期間終了後に所有権が借主に移転しない契約方式です。

以下の条件のいずれかに該当する場合には所有権移転FLと判定されます。

・契約期間中または終了後に物件の所有権が借主に移ることが約束されていること
・契約期間中または終了後に物件を借主が無料同然の価格で買い取れることが約束されていること
・物件が借主専用の特注品で他の者に売ったり貸したりすることができないこと

参照:公益社団法人リース事業協会

逆に所有権移転外FLは、上記の条件を満たしていない契約が該当します。中小企業は「中小企業会計指針」によって賃貸借処理が可能になります。

オペレーティングリース(OL)

OLは、税法上および会計上の定義です。FL以外の賃貸借取引を指します。貸主が契約期間満了時における残存価額をあらかじめ査定したうえで、物件の元本から査定した残存価額を差し引いて料金を算出する仕組みです。

具体的には中古市場があり、将来公正な市場価格が見込める汎用性のある物件(自動車、建設機械、工作機械等)に対して、貸主が将来の残存価値(中古価値)を負担します。そのため借主は契約期間中、割安な料金で物件を使用することができます。また、物件を所有するわけではないので、資産として計上する必要がありません。

なお、所有権移転外FL(中小企業および大企業において簡便処理が認められる重要性が乏しい取引)、並びにOLは賃貸借取引となることから、借主は料金支払い日に費用処理します。併せて、消費税も支払い日に料金分の消費税を仕入控除します。

リースのメリット

リースには主に以下の7つのメリットがあります。いずれも導入効果を高く感じられるメリットなので、検討する際の有力な判断材料になります。

初期費用を削減できる

機械や設備を自分で購入する場合、購入代金を一括支払いしたり、頭金を用意したりと、ある程度多くの初期費用がかかります。リースであれば、貸主が立て替えて購入するので、初期費用を大幅に抑えることが可能です。

公益社団法人リース事業協会が2020年に行った調査(※)でも、メリットについて感じていることとして、「設備導入時に多額の資金が不要である」という答えが75.1%で最も多くなっています。

※参照:2020年リース需要動向調査報告書

減価償却費を平準化できる

機械や設備を購入すると200%定率法などにより、1~2年目の減価償却費の金額が大きくなります。リースにした場合は、各年度一定の減価償却費にすることが定められている(※)ため、償却コストを平準化できます。その結果、売り上げが安定していない初期の黒字化に貢献することが期待できます。

※リース期間定額法

銀行借入枠を温存できる

銀行借入による購入でもリースでも、機械や設備を使用することは同じです。銀行借入せずリースにすることで、銀行借入枠を温存できます。事業の拡大には銀行借入が必要になる場合があるので、銀行借入枠が大きいほど新規事業の資金調達が楽になります。

常に最新設備を使用できる

機械や設備は日進月歩で改良が加えられ、ひと昔前のモデルは陳腐化する場合があります。リースは借主が物件を選定するため、常に最新設備を使用することができます。レンタルでは最新設備が在庫のなかになければ借りることはできないので、リースならではのメリットといえます。

リース料を経費として計上できる

中小企業の所有権移転外FLであれば、料金を賃貸借処理することで全額を経費に計上できます。

大企業はリース会計基準が適用されますが、未経過期間の料金が期末残高割合で10%未満の部分については、簡便な会計処理を採用することができます。期末残高割合が10%を超える場合でも、10%未満の部分は簡便な会計処理を継続できるのでコストの把握が容易です。

金利変動リスクを回避できる

銀行借入で商品を購入した場合、変動金利を選択すると金利変動リスクが生じます。リース契約では月額料金が固定であるため金利の変動リスクはありません。とくに2022年に起きた世界的なインフレは金利上昇を招く恐れがあるので、金利動向に不安がある場合はリースを利用することも有効となります。

事務処理の負担を軽減できる

中小企業の場合は支払った料金の管理だけで済むため事務処理が容易です。リース会計基準が適用される大企業でも、未経過期間の料金が期末残高割合で10%未満の部分については、契約金額総額から利息相当額を控除せずに計上することができます。これにより支払った金額と同額の減価償却費のみを管理すればよいので、事務処理の負担を軽減できます。

リースのデメリット

メリットが多いリースですが、デメリットがないわけではありません。以下の3つのデメリットに注意する必要があります。ただし、例外もあるので併せて確認してください。

中途解約はできない

リース契約は原則として中途解約できません。税法上契約期間中の中途解約が禁止されているためです。これは、貸主は借主に代わって売主に代金を立て替えて支払う仕組みのため、全額回収を前提としているからです。

保守・修繕義務がある

FLで利用している機械や設備は借主に保守・修繕義務が生じます。機械が故障しても貸主が対応することはありません。ただし、保守会社または売主と保守契約を結ぶことで毎月保守料金がかかるものの、故障した場合は保守会社または売主が対応してくれるので安心です。他に、点検や整備なども行ってくれます。

設備の所有権がない

リース契約では、基本的に契約期間終了後も機械・設備の所有権は移転しません。ただし、再契約することはできます。再契約の料金は年間利用料の1/10程度と割安です。所有権がなくても、ここまで割安ならコスト負担は軽いと考えてよいでしょう。

リースか購入で迷ったら?

必要な機械や設備をリースするか購入するか迷うことがあるでしょう。ここでは、リースが向いているケースと、購入が向いているケースについて紹介します。

リースが向いているケース

リースが向いているケースは、購入コストを平準化したい場合です。購入すると一括払いの場合まとまった資金が流出します。リースなら毎月定額のランニングコストとして計画が立てやすく、料金を毎月の経費として計上できるメリットがあります。

購入が向いているケース

購入が向いているケースは、対象の物件を所有したい場合です。リース契約では物件の所有権は貸主にあるので、借主が自由に売却することはできません。市場価値(中古価値)が見込め、一定期間使用した後に売却したい場合は自己所有にしておいた方がメリットがあるため、購入が向いています。

オンライン完結の新しいリースサービスMileOn(マイルオン)

最近注目が高まっているのが、オンライン完結の新しいサービスMileOn(マイルオン)です。ここでは、MileOn(マイルオン)の特徴やメリット、利用手順などについて紹介します。

サービス提供の対象法人企業または個人事業主(代表者本人が申し込む)
取引形態ファイナンスリース
対象物件動産、ソフトウェア(医療機器、中古資産除く)
契約期間2年以上7年以内
物件代金500万円以内(税別)
提出書類1. 本人確認書類
2. 売主発行の物件見積書
3. 口座振替依頼書

※本人確認書類は運転免許証、運転経歴証明書、パスポート、マイナンバーカード、健康保険証、住民票の写し、住民票の記載事項証明書、印鑑登録証明書のいずれか2点。口座振替依頼書は契約締結時に貸主の指定書式を提出。
保険動産総合保険
保証法人:代表者連帯保証、個人事業主:代表者連帯保証

MileOn(マイルオン)とは

三菱HCキャピタルが運営するMileOn(マイルオン)は、設備資金の調達をサポートするオンラインサービスで、2021年6月1日よりサービスが開始されました。見積申込から契約締結、契約内容照会に至るまで一連の取引をオンラインで簡単に完結できます。インターネット環境があれば、PCまたはスマートフォンから利用でき、登録料や利用料は無料です。

物件代金500万円(税別)までなら、法人・個人事業主問わずサービスを利用できます。契約期間は2年以上7年以内です。対象物件は動産やソフトウェアですが、医療機器や中古資産は対象外となります。取引形態は先に紹介したFLです。MileOn(マイルオン)を利用することで、FLのメリットを得られます。

なお、500万円を超える契約の場合でも三菱HCキャピタルのコーポレートサイトの「お問い合わせ」から相談することが可能です。

MileOn(マイルオン)のメリット

MileOn(マイルオン)には以下のようなメリットがあります。利便性を高め、個人事業主にも利用しやすい体制が敷かれています。

審査完了まで最短1営業日のスピード審査

最短1営業日で審査が完了するのがMileOn(マイルオン)のメリットの1つです。それが可能なのはオンライン上ですべてが完結する仕組みだからです。面倒な謄本・決算書等の書類準備も必要なく、利便性が高い審査体制といえます。

面談不要!すべてオンライン上で完結

担当者を置けない個人事業主の場合、契約手続きに時間を取られるのは負担に感じるでしょう。MileOn(マイルオン)はオンライン上ですべて完結するので、面談の手間がかかりません。見積もりから契約締結、期間満了までの契約内容の照会もすべてオンラインで行うことができます。

個人事業主から法人まで対応

MileOn(マイルオン)は、法人だけでなく個人事業主も利用することができます。個人事業主の場合、初期費用を一括で支払うのは負担が大きいので、MileOn(マイルオン)のサービスはとくに向いているでしょう。なお、法人企業、個人事業主ともに代表者本人が申し込む必要があります。

大手ならではの安心の実績

MileOn(マイルオン)は、三菱HCキャピタルが運営しているため、安心してサービスを利用することができます。取引実績も豊富で、全国対応なので、どこの地域からでも利用できます。

MileOn(マイルオン)の利用手順

MileOn(マイルオン)を利用する手順は以下のとおりです。

1. 物件見積書の取得
導入したい設備が決まったら、売主(販売店等)から物件見積書を取得します。

2. 見積もりの申込み
希望する条件で見積もりを申し込みます。審査結果は最短1営業日でメールにて届きます。

3. 契約手続き
見積条件を確認した後、定型約款方式によりオンライン上で契約手続きが完了します。

4. 物件の発注
貸主(三菱HCキャピタル)が売主と売買契約を締結し、物件の発注を行います。

5. 物件の納入
売主が借主の指定する場所に物件を搬入します。

6. 検収手続き
物件を検収して確認した後、リースがスタートします。

7. リース料の支払い
借主が毎月決められた料金を貸主に支払います。

8. 物件代金の支払い
貸主が売主に物件代金の支払いを行います。

なお、MileOn(マイルオン)を初めて利用する場合は、公式サイトから新規アカウント登録・見積もりの申込(無料)を行う必要があります。

MileOn(マイルオン)でリースメリットを享受しよう!

オンラインで手続きを完結できるMileOn(マイルオン)は、デジタル時代に相応しいサービスです。MileOn(マイルオン)を利用すれば初期費用を抑えられ、料金が決まっているため金利上昇リスクも避けられます。何より事業に合わせて自分で物件を選定でき、最新モデルを導入できるのは大きなメリットです。

リースにすることでローンを組まずに設備投資できるため、銀行借入枠を温存でき、今後の資金調達も有利に進められるでしょう。さらに、毎月発生する料金を経費として計上することも可能なので、損益管理が容易になります。

設備投資を検討している方はリース契約の特徴を理解し、MileOn(マイルオン)を利用してそのメリットを享受しましょう。

三菱HCキャピタルグループについて

三菱HCキャピタルは、2021年4月1日、三菱UFJリース株式会社と日立キャピタル株式会社の統合により、誕生しました。三菱HCキャピタルグループは、「社会資本/ライフ」「環境・エネルギー」「モビリティ」「販売金融」「グローバルアセット」を注力領域としています。三菱HCキャピタルは、絶えず変化する社会やお客さまのニーズに応えるべく、独自性と進取性のある事業を展開することで、明るく希望に満ちた未来社会や豊かな暮らしの実現に貢献していきます。

詳しくは、三菱HCキャピタルのウェブサイトをご覧ください。
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/