確定拠出年金,手数料
(写真=PIXTA)

個人型確定拠出年金は、各種の手数料や運用する金融商品の種類・売買タイミングにより、運用結果に大きな差が出てくるのが特徴だ。手数料は金融機関(運営管理機関)でそれぞれ異なるが、月々あるいは年間の手数料が少額でも、20年30年という長期になれば累計で10万円以上の手数料が発生する。個人年金の資金をバケツにためる水に例えるなら、手数料はいわばバケツに開いた穴である。穴からチョロチョロと水(お金)が漏れてしまっては実にもったいない話ではないか。なるべく小さい穴のバケツ(=金融機関)を選ぶことが、賢い年金資金運用の第一歩になる。

個人型確定拠出年金で発生する手数料にはどんな種類があるだろう。大別すると以下の4つが挙げられる。①国民年金基金連合会への手数料。各金融機関共通の費用で加入時2777円に加えて年間1236円が発生する②事務委託先金融機関手数料。確定拠出年金の事務を委託される信託銀行へ支払われる費用で各金融機関共通で年間768円となる③運営管理手数料。確定拠出年金口座を開設した金融機関への手数料で、開設時の手数料と月々の手数料があり、金融機関の考え方の違いで大きな開きがある④信託報酬。投資信託や不動産投信など金融商品に応じて個別に設定された利率を支払う。

「ゼロ円」もある運営管理手数料

続いて年間の運営管理手数料の安い順にトップ5を見てみよう。1位はスルガ銀行 <7182> とSBI証券のゼロ円。ただし管理資産50万円以上という条件付きだ。3位はスルガ銀行の管理資産50万円未満のパターンで3240円。4位は三井住友海上火災保険の3660円、5位のりそな銀行は3792円でこれらは管理資産額の条件はない。ちなみにみずほ銀行や損保ジャパン日本興亜DC証券、ソニー生命保険、三井住友銀行、大和証券、住友生命保険、主要な労働金庫、それにSBI証券(管理資産50万円未満)が3888円で続いている。

スルガとSBIはなぜ安い?

スルガ銀行とSBI証券の運営管理手数料が安い理由はどこにあるか。まず条件にも挙げられている管理資産。50万円以上が条件になっているので1口座当たりの金額が大きくなり、信託報酬など金融商品の運用に伴う手数料が期待できる。

ゼロ円の運営管理手数料は、すでにほかの金融機関で確定拠出年金口座を設けている人を移管する呼び水にもなる。加入者全体の管理資産総額が膨らめば、さらに金融商品の運用に伴う手数料収入や確定拠出年金口座からの定期預金を原資にした運用に伴う収入の拡大も望める。本来は運営管理手数料の中には記録関連運営機関への手数料が含まれるが、その経費を金融機関側が負担してでも利用者や管理資産総額を増やそうとする姿勢が見てとれる。

中でもスルガ銀行は管理資産50万円以上の条件を満たせば、口座開設時の手数料は国民年金基金連合会への支払いとなる2777円を除けば無料だ。利用できる金融商品も33本と個人型では最大級の品ぞろえを誇る。内訳を見ると国内株式型投資信託6本、国内債券型投資信託2本、外国株式型投資信託7本、外国債券投資信託5本、バランス型投資信託8本、REIT(不動産投信)型投資信託2本、定期預金3本と幅広い投資の選択が可能になっている。定期預金は元本保証があり金融商品による運用リスクを避けつつ、掛け金の所得控除や運用益の非課税メリットを享受できる。

節税に最大のメリット

確定拠出年金を利用した資産運用は、将来の年金額を運用能力次第で大きく増やせる可能性があるのに加えて控除や非課税といったプラス面が大きい。節税効果が大きく、掛け金を積み立てている期間を中心に年金以外の部分でもトータルの資産増加や家計にゆとりをもたらすことができる。マネーの専門家たちも税制面のメリットはNISA(少額投資非課税制度)よりも大きいと指摘しており、確定拠出年金の利用対象になれる人には積極的に検討する価値はある。リスクが心配な人は定期預金を中心にした運用もあるので、リスク回避が十分可能だ。

逆にこれまで個人型確定拠出年金を利用できなかった人には朗報がある。確定拠出年金法の改正が検討されており、法案が可決成立した際は対象者が大幅に増える見込みだ。現在の個人型確定拠出年金の加入対象者は、自営業者と国民年金の1号被保険者、企業年金制度や企業型確定拠出年金の導入がない企業のサラリーマンに限定されている。

改正後はサラリーマン・公務員の妻(3号被保険者)や公務員などの共済加入者(2号被保険者)、サラリーマンで確定給付型年金のみ加入している人(同)、企業年金の規定などにより個人型確定拠出年金への加入が認められている、企業型確定拠出年金に加入中のサラリーマン(同)にも対象が拡大する。野村総合研究所では最大400万人が加入すると試算しており、金融機関による加入対象者の争奪戦が激しくなるとともに金融商品の投資信託も運用額が膨らみ、金融市場に刺激をもたらす好材料となるか注視したい。

阿部 博史(あべ ひろし)・フリーライター しろくま通信社代表
1969年生まれ。島根大学卒業後、一般企業を経て出版社へ。地方経済誌の編集記者を11年務め、この間約1500件の訪問取材を行い3000本以上の記事を執筆した。独立後は広島県福山市を中心とした地方取材の傍ら、ウェブでのコラム・ブログ執筆も手掛ける。

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