アセットアロケーションの方法

アセットアロケーションは分散投資を計画的に行うことだが、その方法は、各資産のリスクとリターンを把握し、投資環境やマーケットの動向等を見ながら、資産毎の相関関係、運用目的や資産状況を考慮して決定することになる。このように書くと難しく思われるかもしれないが、視点としてはリスクをどれだけ取れるかを考えることが大事だ。

具体的には「投資対象」と「投資する地域」をベースに考えるとよい。投資対象というのは「株式」「債券」「不動産」「為替」「コモディティ(金、原油…)」などへどのような配分で保有するかということで、投資する地域というのは「日本」「アメリカ」「中国」などへどのように分散させるかということだ。

投資対象の分散の一例として、株式と金がある。株式は有事の際に下落する可能性が高いが、金は一般的に有事に強いので、金を保有していれば有事の際に損失を回避できる可能性があるという具合になっている。

また、地域分散の一例としては、円資産とドル資産への分散がある。為替の変動で円安になれば、円資産のみの所有だと価値が減少するだけだ。ところが、円資産とドル資産を保有していれば、たとえ円安によって資産が減少したとしても、ドル高ならばドル資産の増加分で補うことができるというわけだ。

理論的には「期待収益率」、「標準偏差」、「相関係数」などを組み合わせてアセットアロケーションを考えるのだが、運用のプロでない限りそこまでする必要はない。国内債券、国内株、外国債券、外国株などを基本に分散すればある程度は分散投資の効果が期待できる。それも手間と考えるのであればバランス型の投資信託もあるので、それを選択するのもありだろう。

ただ、アセットアロケーションは一度決めたらそれで終わりではない。投資後も資産の価格変動によって当初決めた配分割合は変わってくるので、その場合には当初決めた水準に戻すこと(リバランス)が必要になる。そのことだけは注意しておきたい。

アセットアロケーションは、方針自体を固める必要があるが、投資対象は様子を見ながら変更できるので、気にしすぎる必要はないだろう。確定拠出年金の場合には、投資による運用利益以外に税制面でのメリットもあるので、その効果も勘案しながら運用を考えてみてはいかがだろうか。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ