DC
(写真=PIXTA)

確定拠出年金(DC=Defined Contribution Plan)を利用する場合に見落としてはならないのは、運用する金融商品の運用利回りによって将来の資産額が大きく違ってくることだ。年金として受け取り始めてから、どのくらいの差が出てくるのかはもとより、給付の開始後に運用できる利回りについても、関心を払っておく必要がある。

まずは確定拠出年金の運用目標額を設定する

例えば給付が開始されてから20年間年金を受け取るものとして、その年額はどの程度になるのだろうか。給付開始時には年金資産から最初の年金が差し引かれ、残額が一定の金利で運用されることになる。次の年には、その元利合計から年金が支払われるわけだ。

余裕ある老後を迎えるために、確定拠出年金からは年間50万円の収入が欲しいと考えたとしよう。ここで給付の開始後に運用できる利回りが3%だったとすると、給付開始時に必要とされる年金資産は743万8,500円になる。

ところがこの利回りが2%だった場合には、必要な年金資産は817万5,500円となり、73万7,000円も増えてしまう。また、利回りが1%だった場合にはさらに金額が増えて、902万3,000円に上ることになる。給付開始時の年金資産額の目標額を設定する際には、こうした事実を十分に認識しておく必要がある。

目標額の達成に必要な積立額を知る

さて、年額50万円の年金を20年間受け取るための年金資産743万8,500円(開始後の運用利回り3%、上記参照)を目標額とした場合、毎月の積立金額はどのくらいになるのだろうか。年金資産は積立額に利息を加えた元利合計に対してさらに利息が付くという「複利計算」になるので、「運用利回り」の差は想像外の大きさになる。

現在35歳の人が60歳から年金を受け取ろうとすると、積み立てを拠出する期間は25年だ。積み立ての期間を25年とした場合、もし「運用利回り」が2%だったなら、月額1万9,150円を拠出すると年金資産744万円強を築くことができ、目標が達成されることになる。

ところが、もしここで「運用利回り」が1%だったと仮定すると、必要な拠出月額は2万1,850円に増加してしまう。逆に3%だった場合には、拠出額は1万6,750円に減額される。