DC
(写真=PIXTA)

2016年5月に法律改正がなされ、加入対象が広がったことで今注目を集めている個人型DCだが、メリットがよくわからないという人も結構多いのではないだろうか。そこで、今回はどのようなメリットがあって、どのくらいおトクなのかを解説しよう。

個人型DCとはどのような制度なのか?

DCとは、「Defined Contribution Plan」の略で、日本語では「確定拠出年金」と呼ばれる。確定拠出年金は、加入者が一定の掛金を支払い、自ら運用方法を決定するという年金である。「確定拠出」とあるように掛金は一定だが受け取り額は運用結果によって変わってくるのが特徴だ。

確定拠出年金には、企業型年金と個人型年金があるが、今回は個人型年金について見ていきたい。個人型年金に加入できるのは、現状では自営業者と勤め先に企業年金のない会社員であるが、法改正により来年1月からは企業年金のある会社員や公務員、専業主婦なども加入できるようになる。

個人型DC「3つのメリット」とは?

個人型DCは年金であるが、公的年金とは異なり個人毎に拠出した掛金が明確に区分されている。また、運用方法も自分で選べるので、うまく運用できれば資産を増やすことができる。また、なんといってもメリットとして大きいのが税の軽減効果だ。①掛金支払いの段階、②運用期間中、③年金受取時点の3つの段階で税の優遇が受けられる。

1. 掛金支払いの段階(全額所得控除)

掛金は全額所得控除の対象となる。所得税の計算は、所得から所得控除等を差し引いて課税所得を算出し、それに税率を掛けて税額を計算する。

課税所得500万、800万、1,000万円でシミュレーションをしてみよう。ここで課税所得というのは、実際に得られた所得から給与所得控除(給与額によって定められた一定の金額)や所得控除(基礎控除、生命保険料控除など)を差し引いた後の所得になる。課税所得ごとの税率は次のとおりである。

・ 課税所得500万円の場合(所得税率20%+住民税10%)
・ 課税所得800万円の場合(所得税率23%+住民税10%)
・ 課税所得1,000万円の場合(所得税率33%+住民税10%)

たとえば、毎月2万円を掛金として支払った場合、年間の支払額は2万円×12ヵ月=24万円になる。

課税所得が500万円の人の税率は所得税と住民税合わせて30%なので、24万円×30%=7万2,000円が節税となる。同じように800万円の場合、24万円×33%=7万9,200円、1000万円の場合、24万円×43%=10万3,200円が節税となる。たとえば30年続いたとすると課税所得が500万円の人でも7万2,000円×30年=216万円も納税額を減らすことができるのである。