確定拠出年金の税制メリット

運用先についてもさまざまな選択肢が設けられており、国内外の株式で積極的に増やすこともできれば、預貯金や国内の債券という堅実な手段も選べる。そして何より、DCの一番のメリットはNISA以上に手厚い税制優遇にあると言えよう。

個人型の場合、毎月2万3,000円を上限として、自分が負担した掛金がすべて所得控除の対象となる。つまり、最大で年間27万6,000円を課税所得から差し引くことができ、所得税や住民税の負担をその分だけ抑えられる。上限はあるが、掛金を増やせば増やすほど、課税所得金額から差し引くことができるため、税効果は高くなるというわけだ。また、住民税率は一律10%だが、所得税率は金額によって変わってくるため、税効果も変わってくる。所得税率は、所得が高い人ほど税率が高くなる累進課税をとっているため、所得が高い人ほど税効果が高くなる。

さらには、運用によって得られた利益についても、60歳までの加入期間中には税金がかからない。先で述べたNISAの非課税期間は5年だが、DCは60歳になるまでずっと続く。なお、運用期間中に支払われた分配金も非課税だが、その点はNISAも同じだ。

将来、年金として受け取る際には税金がかかってくるものの、公的年金控除が適用されるので、やはり税制的に優遇されている。一括(一時金)で受け取った場合も、退職所得控除が適用される。加えて、DCの選択肢として用意されている専用の投資信託では、信託報酬などのコストを一般の商品よりも優遇しているケースが少なくない。

このようにさまざまな点において、DCは有利に資産を形成できる制度となっているわけだ。注意点としては、原則60歳になるまで拠出した掛金を引き出せない点だが、資産を形成するにあたり中々貯められないという方にとってはメリットにもなるだろう。

NISAと確定拠出年金の棲み分け

とはいえ、NISAにも相応の魅力があることも確かだろう。重要なのは、それぞれの特性を生かし、上手に組み合わせて活用することだ。NISAは非課税期間が終了した時点で元本部分のみ、さらに5年先まで非課税とするロールオーバーという措置を選べる。こうしたことから、老後資金のように長期のスパンの運用ではDCを選び、5〜10年をメドとした運用ではNISAを選ぶというのも一考だろう。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ