さて、この制度の何よりの魅力は税制上の優遇にある。「個人型」の場合で月々2万3,000円、年間で27万6,000円までの掛金が所得控除の対象となり、課税所得から差し引くことができる。加えて、60歳までの加入期間中に運用によって発生した運用益も税金が差し引かれない。以下のパタ―ンでシミュレーションしてみよう。

◯ 個人型DCを利用、課税所得500万円(所得税率20%)、毎月の掛金2万3,000円(年間27万6,000円)
年間の税効果は、「積立金額×(所得税率+住民税率/一律10%)」の計算式で求めることができる。

今回のパターンで計算すると、「27万6,000円×(20%+10%)=8万2,800円」の税効果を享受することができる。

なお、残念ながら専業主婦や公務員については、現時点では確定拠出年金制度の利用は出来ないが、2016年5月にDC法が改正され、2017年1月から利用できるようになる。また、所得がなければ、掛金の所得控除メリットを受けることが出来ない点は覚えておきたい。運用で得られた収益に関しては税金が課されない。

とにかく、一般の金融商品で発生した利息や利益からは税金が差し引かれるだけに、こうした税制優遇は軽視できないだろう。掛金が控除された分だけ所得税や住民税の負担を抑えられながら、同時に運用面でも税制優遇がプラスに作用するのだ。

確定拠出年金のデメリットがメリットになる?

ただし、デメリットも存在する。あくまで老後のための資金作りを目的とした制度なので、原則として60歳まで解約・換金できないのだ。また、利用にあたっては一定の手数料がかかることもあり、運用状況によっては、掛金の総額を下回る年金しかもらえない可能性もある。商品選択時にどのように選べば良いのか悩ましいという方もいるだろう。

とはいえ、貯蓄が苦手な人にとって、この60歳まで解約・換金できないというデメリットはむしろ好都合だろう。60歳になるまで引き出せないため、否応なく老後のための資金を確保できることになるからだ。こうした有利な制度を利用して、自分自身の将来のために大きく前へ踏み出してみてはどうだろうか? この制度を活用することで、まとまった蓄えを確保できることになるだろう。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ