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(写真=PIXTA)

「自分の勤めている会社が突然倒産する」そんなことを考えたことはあるだろうか。会社が倒産すると、その後の収入の心配に加え、長年勤めてきた場合には退職金が支給されるのかどうかも大きな問題だ。そのような中考えたいのが、最近導入する企業が進む確定拠出年金(企業型)だ。では、退職金とはどのような違いがあるのだろうか。

会社の倒産とは?

ひとことに「倒産」といっても、その種類はさまざまだ。最も代表的なのが「破産」だが、「民事再生」なども倒産にあたる。また、いわゆる「夜逃げ」のようなものも倒産だ。退職金は、労働者が労働の対価として金銭を受け取る権利である労働債権である。そのため、民法の上では他の債権より優先する特権と認められている。極端な話、社長が突然夜逃げしたような場合には、退職金をもらうことは厳しいだろうが、一般的な事例では以下のような位置づけにある。

会社が破産した場合、退職手当の請求権は退職前3ヵ月間の給料の総額に相当する額は、破産法の中で財団債権として保護される。民事再生の場合には、退職金は一般優先債権になるので、再生手続きによらずに支払いを受けることができる。このように倒産であっても法的倒産の場合には退職金は一定程度保護されている。

これに対し、確定拠出年金の場合は、会社とは別に金銭管理がなされているので、会社が倒産しても全額受け取ることができる。

退職金と確定拠出年金の違いとは?

退職金(内部留保)と確定拠出年金の違いを9つのポイントで見ていこう。

1. 掛金
退職金も確定拠出年金(企業型)も掛金は会社が負担するのが基本である。さらに、確定拠出年金(企業型)では一定の限度で、従業員が上乗せ拠出できる場合がある。

2. 会社の倒産
会社が倒産した場合、内部留保の退職金は一定限度しか保全されない場合が多い。これに対し、確定拠出年金は、年金資産が企業内部ではなく従業員の個人口座に保全されているため、会社の倒産の影響を受けないという違いがある。

3. 運用商品
退職金の運用は、企業が独自に運用するので、従業員が運用方法等を選択することはできない。確定拠出年金は、従業員が自ら運用するので、金融商品を自由に選択することができるが、運用リスクも負うことになる

4. 転職時
自己都合退職として支給される場合は、定年退職などと比べて退職金の金額は一般的に少なくなる。また、退職時に支払われると、退職金を転職先に引き継ぐことはできない。確定拠出年金は、転職先に確定拠出年金制度があれば、年金資産を引き継ぐことができる。