確定拠出年金、運用のイロハ〜商品の選び方、配分の決め方

目標額がはっきりしてきたら、次は運用先とする金融商品を選ぶ段階になる。インターネット上には、無料で複利シミュレーションを行えるサイトがたくさんある。そこで、毎月の積立投資の金額(掛金)や老後に必要な金額、「60歳になるまでに残された期間(運用に充てられる期間)」を入力して、どの程度の利回りで運用する必要があるのか、を確認しよう。

算出された利回りを達成できそうな金融商品を選ぶのだが、その際タイプの異なる商品を複数、組み合わせることが重要となってくる。1つの商品に資金を集中させてしまうと、運用不振に陥った場合に、ダメージが直撃するからだ。その点、投資先もリスクリターンのバランスも異なる投資対象(国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、国内不動産、外国不動産、……)を複数組み合わせておくと、どれか1つの投資対象に集中して投資するよりも、一般的にリスクを抑制する効果が期待できる。

加えて、組み合わせた金融商品の配分比率も、大きなカギを握ってくる。リスクが比較的低いもののウエイトを大きくしつつ、残りの資金を高いリターンを期待できるものをいくつかに、割り振っていくという考え方になるのが基本的な配分だろう。

確定拠出年金、運用のイロハ〜NGな行動

運用を続けていくと損益が発生し、それぞれの資産残高の割合は、最初に決めた配分から少なからずズレてくる。そこで、増えているものはその分だけ売って、減っているものを買い増すという、リバランス(配分調整)を1年に1回くらいで行うのが理想的だ。運用を成功に導くために、ビギナーが陥りやすいNGな行動を紹介するので、参考にしてほしい。

1. 商品や配分を頻繁に変更する
海外や国内の政治経済などの情勢が、大きく変化していない限り、当初に定めた資産配分の比率は、むやみやたらと変更しない方がいい。あくまで確定拠出年金は、長期的なスパンで臨むことを前提で作られた制度である。目先の市場の動きに惑わされて、小刻みに配分を変えると、むしろ余計な損失を被りかねない。

2. 運用状況を全く見ない
前述したリバランスを実践するためにも、完全に放置してしまうのではなく、運用状況を最低でも年1〜2回はチェックしておくのがよいだろう。できれば、四半期ベース(3ヵ月)ごとに資産全体の把握を行うのがいいだろう。

3. リスクを全く取らない
減ってしまう恐れがあることに躊躇して、一切リスクをとらない(預貯金以外は選ばない)という人もいるだろう。シミュレーションすれば分かることだが、それでは目標額を達成することがかなり難しくなってしまう。先でも触れたように分散投資を心掛ければ、リスクをできるだけ抑えながら、必要とされる利回りを達成する運用に近づけることが可能となるだろう。

いずれにしても、老後を迎えるまでの膨大な時間を味方にして、こつこつと続けていくのが確定拠出年金の本質である。ここで触れた最低限の基本を守りながら、目標額の達成に向けて黙々と積立に励む投資家をめざそう。(提供: 確定拠出年金スタートクラブ